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大阪・京都「建設アスベスト訴訟」勝利めざし集会
2015/10/05

大阪・京都「建設アスベスト訴訟」勝利めざし集会 司会者のコールにあわせて「アスベスト被害なくせ」「すべての被害者に全面救済を」と書かれたボードを掲げる集会参加者(9月9日、大阪市中央区内で)

資本の論理優先し被害拡大
国と建材メーカー断罪せよ


 建設現場でのアスベストによる生命・健康被害について、国と建材メーカーの責任を明らかにし、謝罪と賠償を求める「建設アスベスト訴訟」。来年1月の大阪、京都両地裁判決での勝利をめざす集会が9月9日に大阪市中央区で開かれました。

静かな時限爆弾


 アスベスト(石綿)は、その繊維一本一本が目に見えないほど微細な天然鉱物繊維です。安価で熱や摩擦、酸などにも強く丈夫で変化しにくいという特性を持っていることから建材やさまざまな工業製品に使用されてきました。
 吸い込むと微細な繊維が肺の奥深くに突き刺さり、10数年〜50年後に中皮腫や肺がんなどを発症することから「静かな時限爆弾」と呼ばれ、現在では重量比0.1%超の石綿を含む製品すべての製造・使用が禁止されています。
 日本では約1000万トンのアスベストが輸入され、その約8割が建材に使用されてきました。建設作業従事者はアスベストの危険性を何も知らないまま、建材の切断や吹付け作業を行い粉じんを吸い込んだ結果として中皮腫・肺がんなどを発症、命を落としています。被害者は毎年、数千人規模で増え続けており、建設アスベスト被害は史上最大の労働災害となっています。
 建設現場でこのようなアスベスト被害が発生・拡大した責任は、危険性を認識していたにも関わらず製造を促進し規制を怠ってきた国と、自らの利益のために業界ぐるみで製造・販売を続けてきた建材メーカーにあります。

一人親方の救済を

 国とアスベスト建材メーカーを被告として、2011年6月に京都地裁、7月には大阪地裁に対し、アスベスト被害者(建設従事者)と遺族28人(被害者数21人)が提訴しました。さらに両地裁あわせて28人(同24人)が追加提訴をしています。
 両地裁に提訴した被害者45人のうち、すでに20人が亡くなっています(提訴前も含めて)。原告団は国と企業に「責任を認め、被害者への謝罪と補償、将来の被害補償と被害拡大防止(基金の創設、アスベスト被害予防対策の確立など)」を求めています。
 9月9日の集会で同訴訟について報告を行なった村松昭夫弁護士(大阪アスベスト弁護団団長)は、「東京地裁、最高裁(泉南訴訟)、福岡地裁で国の責任を認める勝利判決が続いたが建材メーカーの責任、そして“一人親方”に対する国の責任を認めた判決はまだ出されていない。裁判官が事実に基づき、どこまで誠実に真摯(しんし)に判断を行うのか、それを左右するのは被害者救済と被害根絶を願う国民世論」として署名活動、宣伝行動の強化を訴えました。