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本流逆流(1月25日付コラムより)
2017/01/25

 1・17阪神淡路大震災には強い思いがある。震災時白浜に居たのだが、高速道路は使えず、大阪へは6時間かかった。幸いにして自宅の被害はウイスキーボトル1本が割れただけ。
 世話になっていた弁護士(神戸市東灘区)と連絡が取れない。とにかくキャンプで使っていたランタン、ツーバーナーのカセットコンロ、蛇口のついたポリ容器に水を入れ、大量のカセットボンベと買い集めた缶詰を軽の四駆ワンボックスカーに積み込んだ。
 一般車は通行止めになっている2号線を迂回し、伊丹を経由して宝塚から六甲山回りで向かった、寸断された道に自衛隊が簡易足場をかけ渡るのだが1mぐらいの段差がある。そこを下る避難車は、フロントを突き上げられ大きく破損。私の車も電磁クラッチが焼けた。
 6時間かけ目的地に到着した頃には日が暮れていた。浜側は焼け野原、山手だけは明かりが点(とも)り別世界だった。先生方が無事だったのでほっとしたが、ガス、水道は止まっていた。暗闇の中、長い列をなして無表情で歩く人々にも遭遇した。
 抗しようのない自然の猛威に対する人間の無力さと、日々暮らせることがどれほど貴重で幸せなのかを痛感した1・17が過ぎていく。