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交通運輸労働者の心身むしばむ長時間・過重労働
2017/05/09

交通運輸労働者の心身むしばむ長時間・過重労働 大阪労働局に労働条件改善を要請する大阪交運共闘の交渉団(4月17日、大手前の合同庁舎2号館で)

「改善基準」が過労呼ぶ


 大阪交運共闘は4月17日午後、近畿運輸局交渉に続けて大阪労働局交渉に取り組み、交通運輸労働者の労働条件改善に向けた適切な諸施策を実行するよう要請しました。

上限規制5年先延ばし

 厚生労働省が設けている過労死認定基準では〈発症直前の1か月に時間外労働が100時間以上、直前の2〜6か月に平均80時間以上〉としているのに対し、同省告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下、改善基準)では月115時間以上の時間外労働が可能で、しかも法律ではないので罰則がありません。
 政府は3月28日に、時間外労働の罰則付き上限規制導入などを盛り込んだ「働き方改革実行計画」を決定しましたが、現行制度で上限規制の適用除外となっている自動車運転者については5年間先延ばしにされ、その後の見直しでも「年960時間(=月平均80時間)以内の規制を適用する」としています。
 大阪労働局交渉で組合側は、「改善基準を過労死認定基準以下に改定し、法制化すること」「過労や事故を未然に防ぐ観点に立った上限規制を速やかに実施すること」などを求めたほか、「労働基準監督官など、早期に人員を増員し実効性があがる監督体制を強化」するよう要請しました。

現場回って実態把握を

 組合側は「一般のドライバーによる事故は減少しているのに交通運輸産業の事故は高止まりしている。総じて賃金が低く、労働時間が長い」「大手〜下請けという構造の中で、下にいけばいくほど遵法精神は低い」「零細運送会社の労働条件がどれほど劣悪か、局にはもっと現場を回って実態を知ってもらいたい、僕らを助けてほしい」などと訴えました。
 局側は改善基準や上限規制について「当局の権限の及ぶところではない」としながらも「脳・心疾患で亡くなられる方が運輸交通業に多いという問題については当局も認識している」「行政体制維持のためには最低限の人員確保が重要。充分、人が足りているというようなことは言えない」と理解を示し、「要請については本省に伝える」としました。