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本流逆流(9月5日付コラムより)
2019/09/05

 96年前の9月1日、大震災が関東を襲った。混乱の中で「朝鮮人が暴動を起こした」「朝鮮人が井戸に毒を入れた」という事実無根のデマが広がり、多くの朝鮮人が「自警団」に殺された。詳しくはサイト「『朝鮮人虐殺はなかった』はなぜデタラメか」(http://01sep1923.tokyo/)を見てもらいたい。
 テレビの情報バラエティー番組は韓国への敵視と蔑視で溢れかえっている。在日コリアンの人々は日々どんな思いで過ごしているのか。大災害が起こった場合、いまの状況では96年前の惨劇が繰り返されない保証はない。現に台風や大雨の災害時でもSNS上に悪質なデマが飛び交っている。
 テレビで盛んに韓国を批判をする元駐韓大使・武藤正敏氏は、徴用工問題の被告当事者・三菱重工の顧問でもある。麻生太郎副総理が政治家転身前に社長を務めていた麻生セメントも同じく被告当事者である。この問題にせよ、従軍慰安婦問題にせよ、人権を蹂躙された被害者に寄り添おうとせず、権力側の言い分を鵜呑みにするのが今どきの「普通の日本人」しぐさである。自己責任論のまん延も無縁ではあるまい。
 削られ続ける福祉、広がる格差。止まらぬ少子高齢化──この国の資本家第一主義はいろいろと限界が近づいている。いわば蛸が自分の足を食って延命しているようなものだ。人件費を削って利益を上げる企業に高度成長期のような「ものづくり」は期待できない。株価を維持するために年金資金がぶち込まれている。
 近い将来、日本を襲うクライシスは戦争か、恐慌か。その頃には安倍首相もいないだろうが、権力者が責任を取らないのは「大日本帝国」以来の伝統である。この国で食えなくなり、出稼ぎに行った先の韓国や中国で「日本人は国に帰れ!」とヘイトに晒される未来が目に浮かぶ。