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本流逆流(10月15日付コラムより)
2019/10/15

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、被災者らが国と東電に損害賠償を求めた民事訴訟では、東電が大津波を予見していながら対策を講じなかったとして複数の裁判所が原告勝訴の判決を出しているにも関わらず、今回、東電の旧経営陣3人の刑事責任が問われた裁判では東京地裁が無罪を言い渡した。
 公判では2008年、国が設置した調査機関の予測を基に最大15・7メートルの津波が襲う可能性を東電に子会社が報告したとされたが、永渕健一裁判長は判決理由を「予測に限界のある津波という自然現象について、想定できるあらゆる可能性を考慮し、必要な措置を講じることが義務づけられれば、原発の運転はおよそ不可能になる」とした。
 07年5月、日本共産党の吉井英勝衆院議員(当時)が国会質問で、巨大地震では原発の外部電源や非常用の内部電源が切断されるため炉心を水で冷やす機能が働かなくなるから最悪の事態を想定せよと迫ったのに対して、政府は「そういったことはあり得ないだろうというぐらいまでの安全設計をしている」と強弁していた。
 国と東電を免罪した今回の判決は、原発ありきの国民犠牲で、到底許されないものだ。