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オピニオン OBの視点−教宣活動強化でバスの運動前進を
2014/07/25

教宣活動強化でバスの運動前進を


元・大阪地連バス部会事務局長 尾崎博明

 貸切バスは、高度経済成長の中で本来の観光サービスや団体輸送、イベント輸送など様々なニーズに対応し、身近な輸送手段として発展してきました。とりわけ高速ツアーバスは格安の料金を武器に急速にシェアを拡大し、現在の「新高速乗合バス」(以下、新高速バス)に発展・移行してきました。
 国交省は新高速バスへの移行の中で、重大事故の再発防止として、「1日の走行距離規制と夜間運行」について「交替運転者の配置基準」を実施(昨年8月1日)。その内容は東京→長野方面までの夜間ワンマン運行を可能とするもので、再発防止どころか労働過重による事故発生の恐れを強めるものとなっています。
 一方、新高速バスが始まって1年近くなりますが、現時点では深夜1人運行に踏み切っている事業者はありません。国交省のお墨付きが出たにもかかわらず、です。これまで多くの法令違反を指摘されてきた“元・高速ツアーバス”も導入してない夜間ワンマン運行の現状は、見方はいろいろありますが、深夜の1人運行のリスクがいかに高いかを表したもの―と見ていいでしょう。
 さて、貸切バスは観光サービスから福祉、コミュニテイーそして新高速乗合まで公共交通の一翼を担い、発展してきました。これからはさらに新しい需要の開拓をめざすことが求められますが、それにはまず安心・安全な乗物としての信頼を得ることが大事です。
 ところが、規制緩和後の事業者の激増、過当競争の下で事故件数は高止まりの状態が続き、最近では運転者の健康急変による事故があとを絶ちません。こうした状況の中でいまこそ求められているのは、〈バスの安全確保と労働条件の改善〉をめざす取り組みの強化です。
 自交総連は昨年、本部が中心となって「バスの輸送の安全確保と労働条件の改善」をめざす「基本方針」を決め、国交省・厚労省などへの要請交渉を継続させるなど、幅広い取り組みでバス労働者の運動を強めています。
 もうひとつ心強いことは、大阪地連をあげての指導・支援体制があることです。労働局や運輸局など行政に対する取り組みから日常の取り組みまで、機関紙「ハンドルおおさか」で取り上げて宣伝し、たたかいを支えています。6月6日付けの同紙では、第3面のほとんどを使って国交省との交渉の内容が伝えられており、力強い支援体制を感じます。
 かつて中央交通労組の10数年に及ぶたたかいでは、何日もかけてビラを作り、通算400号を超える「職場ニュース」を発行。その中で自交総連への信頼を高め、業界トップクラスの労働条件を勝ち取ってきました。このように教宣活動は要求の前進に向けて大きな力となるものです。
 いまバス労働者の年収は他産業労働者よりも低く、年間労働時間は500時間も長くなっています。過労死基準以下の「改善基準」の下でバスの重大事故はあとを絶たず、交通産業では他業種の3.6倍もの過労死が発生しています。
 こうした劣悪な環境の下でコースや時間に縛られ、睡魔と戦いながらの夜間長距離ワンマン運行が加われば、事故の増加は火を見るよりも明らかです。〈夜間ツーマン運行の法制化〉は、利用者と運転者の命を守るたたかいとして、譲ってはいけない最大の要求・課題です。
 バス部会のなかまには機関紙やビラを旺盛に発行・配布して組織を強く大きくし、安全のための適正な乗務距離規制や夜間ツーマン法制化の実現をめざすたたかいを前進させてほしいと願っています。