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規制改革推進会議第1次答申
2017/06/06

安心安全よりも金儲け
白タク合法化地ならし


 規制改革推進会議(議長=大田弘子・政策研究大学院大学教授)は5月23日、昨年9月の発足後初めての答申をまとめ、安倍首相に提出しました。答申ではライドシェアについて直接の言及はないものの、移動・輸送サービスについて「シェアリングビジネスの流れも念頭に、(略)我が国ならではの仕組みを確立するべく、更なる改革に向けた検討の継続が重要」と記述しています。

相乗りビジネス推進


 答申では、自家用車による運送について「相乗りをマッチングさせるサービスが始まっているが、充分に普及しているとは言えない」と指摘。「道路運送法第78条において、自家用自動車による有償運送は登録又は許可を受けた場合以外には原則禁じられて」いるものの、その理由が明確に示されておらず「登録又は許可を要しない運送の範囲の解釈が困難」であることが「サービスの普及を妨げる一因」としています。
 そして答申は、「輸送の安全や利用者の保護に対する期待感を利用者一般が(自家用有償運送に対して)有している」から自家用有償運送は登録・許可が必要なのだということを通達で明確にした上で「登録又は許可を要しない自家用自動車による運送について、ガソリン代等の他に一定の金額を収受することが可能な範囲を通達により明確化する」としています。
 これらの記述は、言い換えると“利用者から安全性を期待されなくてもビジネスとして成り立つ交通手段を推進していく”という表明です。

タクシーの価値否定

 相乗りマッチングサービスnotteco(のってこ)について、経済産業省がグレーゾーン解消制度の回答で合法としました。現時点ではドライバーが受け取れるのは実費の範囲内とされているのを、今回の答申を受けて実費を超える一定の金額を収受することを可能にする検討が今後、国土交通省で行われることになります。
 経済性を安心安全の上に置く“交通の自己責任化”はタクシーの存在価値を否定するものでもあり、私たちはこの動きを断じて許すわけにはいきません。

二種免許要件緩和も

 さらに答申は「少子化等を背景に運転手不足が深刻化している」として二種免許受験資格の要件緩和についても記述。「自動車技術の進展(略)等を踏まえ、」「現行制度が年齢要件で担保しようとしている運転手としての資質等について、事業者による安全担保措置を含め、研修や他の方法で補完することの適否等第二種運転免許制度の今後の在り方を総合的に検討する」としていますが、「運転手不足」の最大の理由である“劣悪な労働条件”を放置したまま運転技量のハードルを下げて問題解決を図るなど、交通運輸行政の責任放棄でしかありません。