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タクシー乗務員の減少続く、現実味を増す労務倒産
2017/07/05

車庫で眠る車両35%


 大阪タクシー協会や大阪タクシーセンターが毎月公表しているデータ(大タ協=タクシー輸送実績、大阪タクセン=年齢別運転者証交付数)を基に、過去3年間の4月の平均日車営収(中型車)、実働率、実車率及び乗務員数の変化を検証。この間、乗務員が1907人減少したことから実働率が5.7%下がり、実車率が1.6%上昇し平均営収が1404円上がっていますが、同時に産業の根幹が壊れていることが窺い取れる結果が出ています。

75歳以上が456人増加


 労働条件改善を所期の目的とした「改正」タクシー特定地域特措法に基づき特定地域に指定され2年8か月が経過した大阪市域交通圏の平均日車営収(中型車)と、大阪地域(大阪タクシーセンターの管轄地域)の乗務員数について、過去3年の4月末データを基に増減を検証しました。
 毎年1000人近くの乗務員がタクシー産業から離れていることを本紙は再三報道していますが、15年4月と17年同月を比べると1907人の乗務員が減少。一番増減が顕著なのは、60歳以上65歳未満が1333人減少し、75歳以上が456人増加しています。
 また日車平均営収は、15年4月が31013円→16年同31951円→17年同32417円と微増傾向が続いていますが、乗務員の減少に歯止めがかからず実働率は同71.1%→68.7%→65.4%と減少傾向で、実車率は反して同43.5%→44.3%→45.1%と増加傾向です。
 この間、強制減車を可能とする特定地域協議会で議論が進められてきましたが、結果として強制力を持たせる地域計画は、大阪府の反対だけでなく、カテゴリー別の過半数の獲得が事実上無理との判断から、強制力を伴わない「8%〜12%程度」の地域計画案にとどまりました。

焼け石に水8.1%

 各業界紙の報道によると、供給削減率は「8.1%」とのこと。前向きに減車する事業者がいる反面、まったく減車しない事業者がいます。35%の車が車庫で止まっている現状でも、経費削減につながる「減車」をしない姿勢には辟易します。
 乗務員減という現象を直視せず、自社には人が集まるという幻想から抜け出せない事業者が未だに少なくなく、労務倒産が現実味を増していることに目を向けるべきです。タクシー業界は確実に体力がそぎ落とされ、ライドシェア・白タク合法化という新たな敵に飲み込まれる瀬戸際だと言うことを肝に銘ずるべきです。
 ※大阪地域=大阪市、堺市(美原区を除く)、豊中市、泉大津市、高槻市、守口市、和泉市、箕面市、門真市、東大阪市、島本町、忠岡町、池田市、摂津市、八尾市、茨木市、吹田市、高石市。