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道運法の不備明白 ハイタク労組8団体行政交渉で浮き彫りに
2018/06/05

 5月23日午前に「白タク合法化阻止! 安全な地域公共交通を守る5・23集会」を開いたハイタク労働組合8団体は同日午後、衆議院第1議員会館内で、経済産業省・国土交通省・厚生労働省の担当者を呼んで順次、要請交渉を実施しました。総合司会進行を自交総連・高城委員長が行い、立憲民主党・近藤昭一衆院議員、日本共産党・山添拓参院議員らの議員も同席しました。

経産省


自己責任交通を推進
都合の「良い規制に」


 経産省交渉で組合側は、ライドシェア事業者が『規制のサンドボックス制度』を活用して実証計画の申請を行なった場合に、認定されることがないようにするよう要請。
 また同省が「グレーゾーン解消制度」で「ジャスタビ」や「のってこ」を合法としたことを念頭に、「道路運送法の許可を得ないで報酬を得て他人を運送する事業を、利用者の安全性の確保について十分に精査することなく、合法との認定を行わないこと」などを要請しました。
 要請の趣旨説明を行なった全自交・伊藤委員長は、「サンドボックス制度についての国会審議では、ライドシェアを含めて対象分野を問わないという大臣からの答弁があり、強く懸念している。国交省はライドシェアへの法的措置を利用者保護の観点から対応不可としている。安全や人命に関わることについては経産省も重く受け止めて慎重に対応していただきたい」と述べました。
 省側はサンドボックス制度について、「実証計画の認定要件として法律に違反しないこととされている。ライドシェアでいえば道路運送法に違反しない範囲で行う実証実験でデータを集め、それによってより良い規制にしていく」「これは単純規制緩和ではない。規制制度の見直し、改革のためのものだ」と強調。道路運送法に違反しない、つまり運転者が受け取る金銭が実費を超えない“ヒッチハイク割り勘”型のライドシェアを優先してサポートしようとする姿勢が透けて見えます。

国交省に責任丸投げ

 また、「グレーゾーン解消制度」について省側は、「事業者から照会があったものについて国交省と議論をして回答している。安全・安心についても一定クリアされたものが認定される。なかには合法と認定しない場合もある」と説明。
 これに対し、自交総連・菊池書記長は、「安全性を検討したというが、本当にされているのか。タクシーのような点呼やアルコールチェックが行われているのか、まったくわからない」「しかも道路運送法の枠外だから国交省は監督できない、経産省はグレーゾーン制度で判断しただけだから監督する立場ではないという。安全性をチェックする者がいないのに合法とされて堂々と営業している。そういうものを認めるのは無責任ではないか」と追及。
 省側は「あくまで道路運送法という規制法令を所管しているのは国交省」「旅客運送とはどういうものであるのか、あるいはそれをさらに違うものとして位置付けるのか、ということも含めた政策判断があった上で、道路運送法という規制によって監督すべきところも整理がされていくものと考えている」と述べ、経産省としての責任は認めませんでした。


国交省


白タク類似行為容認
運輸行政の責任放棄


 続く国交省交渉で組合側は、レンタカー旅行者と観光ドライバーをマッチングする「ジャスタビ」について「道路運送法2条3項で定義される『他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業』であり、白タク・白バス行為にあたることは明らか」と指摘。また、EUの欧州司法裁判所が“ウーバーは運輸サービスでありタクシーと同様の規制対象”と裁定したことも紹介し、白タク類似行為が「グレーゾーン」とされないよう、道路運送事業の定義を厳格化するよう要請しました。
 省側は「ジャスタビ」について「レンタカーでは、借り受けた者と運転する者が同一でなければいけないという規定はない。貸し渡しの際に運転者の紹介と一体とならないよう監視していく」と回答。組合側が「実際に乗客を乗せて運行しているものを誰も監督しないというのは無責任ではないか」と追及したのに対し、「道路運送法の枠外の事業だ。いまのところ規制を広げることは考えていない」と従来の姿勢に変わりがないことを示しました。
 それでも山添拓参院議員、近藤昭一衆院議員が「国交省が対応するべきだ」「国交省としてどうするか考えるべきだ」と発言すると「ご意見を受けとめて、国交省としてどういうことができるか考えたい」と応じました。

実態は労働者と同じ

 厚労省交渉で組合側は、ライドシェアを含むシェアリングエコノミーの働き方について「形式は個人請負であっても実態は事業者の指揮命令下に置かれ、雇用労働者と同じだ」と指摘し、労働者性の認定基準を厳格にするよう要請。
 省側は「シェアリングエコノミーで雇用によらない働き方が広がることは承知している。どういう問題があるか検討を深めていく」と回答しました。