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安倍首相が自家用有償旅客運送の拡大方針を表明
2019/04/15

ライドシェア推進の意図明らか
白タク解禁に竹中平蔵氏暗躍


 3月7日に開かれた政府の「未来投資会議」は自家用有償旅客運送制度について議論。安倍首相(同会議議長)は同制度の拡大に向けた法整備を図る方針を表明しました。白タク合法化への突破口とする意図は明らかです。

 二種免許を持たない運転者が自家用車で旅客を運送する自家用有償旅客運送は安全性の面で重大な問題があることから、公共交通機関がなく他に代替手段がない地域で限定的に運用されてきました。ところが国家戦略特区では2016年の法改正で導入基準が緩和され、観光客の運送も可能とされました。基準を緩めて実施しやすくすることは安全が確保されない運送の拡大につながります。
 今回の会議で取り上げられたのは、自家用有償旅客運送について、(1)タクシー事業者などが協力する(運行管理など委託を受ける、実施主体に参画する)制度の創設(法整備)、(1)利用者を地域住民だけでなく来訪者(観光客)も対象とすることの法律による明確化、(3)自治体が制度導入を検討する際の基準となるガイドラインの策定など。これらの検討は、自家用車による運送行為にタクシー事業者を取り込むとともに、全国的に交通空白地の規定を緩めて、観光客も対象とする自家用有償旅客運送をさらに簡単に導入できるようにしようとするものです。

タクシー相乗りの狙い
白タクアプリ普及推進


 同会議ではタクシーの相乗りについても議論。2019年度中に実施するとされています。
 昨年1〜3月に東京で実施された相乗りの実証実験では、申込み人数5036人のうち実際に利用した人は494人で1割以下。あわせて実施されたアンケートでは、「相乗りを利用する際に最も気になることは」との問いに約5割のモニターが「同乗者とのトラブルに巻き込まれるのではないか」と回答。相乗りを「利用したくない」と回答した人の理由は「相乗りする人がどういう人になるかわからないから」が最多(男性=約6割、女性=約7割)でした。
 利用者から期待されているとはいえず、安心・安全に懸念があるものを無理に導入しようとするのは、相乗りに対応する配車アプリの普及を推し進める狙いがあり、ライドシェア導入につなげる意図もあるとみなければなりません。

安倍首相と竹中平蔵氏
ウーバーCEOと会食


 報道によると、事業者や国交省の見解は「タクシーが認められた」「ライドシェアを検討するという話ではない」とのことですが、直接的にライドシェア解禁が議題にあがらなかったからといって決して安心できるものではありません。
 この会議でライドシェア推進論者の一人・竹中平蔵氏は、安倍首相が今年1月にスイス・ダボスでの世界経済フォーラム年次総会に出席した際、米ウーバー社を含む複数の世界的企業のCEO(最高経営責任者)と非公式の昼食会を持ち、竹中氏自身が司会を務めたことを明かし、「ライドシェア産業は近年最も成長した産業」「日本では既得権益者の猛烈な反対で、この成長機会を逃してきた」とした上で、「自家用有償旅客運送制度を改善する提言がなされているけれども、これは突破口として非常に重要なポイントになる」と、その意図をあけすけに述べています。
 ライドシェア推進勢力の狙いはここに端的に示されており、自家用有償旅客運送の拡大など規制緩和の既成事実を積み重ねて、それを「突破口」に白タク合法化に進もうという意図は明らかです。
 自交総連本部(高城政利委員長)が4月4日に発表した「未来投資会議での自家用有償旅客運送拡大の検討についての見解」では、「安心・安全が担保されない自家用有償旅客運送の導入基準を緩めて拡大することには反対である。国の補助金を増やして、もっとタクシーやバスの地域公共交通を活用することこそが求められる」と指摘。「自交総連は、白タク合法化=ライドシェア解禁につながる一切の規制緩和に反対し、竹中平蔵氏や安倍首相が、ライドシェア解禁の意図をもって規制破壊をすすめようとしていることに警戒心をもって、引き続き白タク合法化反対闘争を強化し、安心・安全な公共交通を守っていく決意である」と結んでいます。