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和歌山・有田交通 解雇撤回、事業も継続
2020/08/25

和歌山・有田交通 解雇撤回、事業も継続

時間との闘い 5日間で73人を組織化


 7月31日、有田交通(和歌山市太田105番地)が和歌山市と海南市の営業所従業員に対し、事業不振を理由に8月31日付での営業所閉鎖・解雇を通知。7月30日に自交総連と和歌山県地評に加盟した有田交通グループ労組(山野益央委員長)は8月12日、上部団体役員同席の団体交渉で解雇を撤回させ、事業継続を約束させました。

 コロナ禍での業績不振を理由に解雇されるとして、有田交通グループ労組の山野委員長ら三役が和歌山県地評(=和歌山県地方労働組合評議会、琴浦龍彦議長)の事務所へ初めて相談に訪れたのは7月25日。応対した県地評、自交総連関西地連、同和歌山地連の役員に、今後の対処について助言を求めました。
上部団体に加盟
労働者の団結を


 自交関西・庭和田書記長は「企業内組合では限界があり、上部団体に加盟して対応する方が皆さんの理にかなう。組合未加入の人たちにも声をかけて団結すべき」「予告解雇の問題もあり時間的な余裕がない。早急に上部団体加盟も含めた組合としての意思を決めてほしい」とアドバイス。
 わずか5日間で従業員の大半(73人)を組織した山野委員長ら三役は30日に同事務所を再度訪れ、自交関西、自交和歌山、和歌山県地評に加盟し、解雇撤回に向けて闘っていくことを決意しました(=上写真)。
 翌31日、解雇予告通知が各人に届き、8月3日に上部団体役員と当該労組三役が上部団体加盟通知を携え、団体交渉開催の申し入れを行いました。
 「8月12日に団交に応じる」との回答が届きましたが有田交通・岩橋正典社長が7日に死去、団交開催が危ぶまれました。しかし会社は約束を守り、妻の幸子氏と有田和生弁護士(土佐堀通り法律事務所)、佐々木宏社会保険労務士が出席。組合側は自交関西・庭和田書記長、自交和歌山・佐野委員長、和歌山県地評・琴浦議長、同・杉事務局長と当該労組三役、組合員ら総勢20数人が参加する大衆団交で臨みました。

新型コロナで
体力が削られた


 会社側代理人の有田弁護士が「当初、解雇の話はなかったがコロナで体力が削られ、解雇を決断せざるを得なくなった」などとこれまでの経緯を述べました。
 組合側は「コロナを理由にしているが雇用調整助成金を活用せず、整理解雇の4要件に照らしても今回の解雇は不当」とし、解雇の撤回を求めると同時に営業を継続するよう強く求めました。
 交渉の結果、会社は解雇を撤回し、今後も営業を継続していくと表明しましたが、有田弁護士は「経営が厳しく金融機関などとの話がある」と吐露し、譲渡譲受など水面下の動きに含みを持たせました。
 庭和田書記長は、「解雇撤回」と「労使が真摯に協議していく」とする合意内容を改めて書面回答するよう求めるとともに、今後の窓口は誰が務めるのかを質問。有田弁護士は「文書回答します。団交の窓口は私です。まだ契約していませんが顧問弁護士に就任する予定です」と応じました。
 最後に岩橋幸子氏が「心配をかけて申し訳ありません。岩橋は最後まで努力していました。本人も残念だと思います。黄色いタクシー(=上写真)を走らせたいという岩橋の遺志を継いで、責任を持って頑張りたいと思います」と深々と頭を下げ、組合に協力を求めました。
 当該労組から、「17日に幸子氏が代表取締役に就任し、営業継続を知らせる案内文書を関係各所に発出した」との連絡がありました。今後の奮闘が期待されます。