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本流逆流(10月15日付コラムより)
2017/10/16

 東京電力福島第1原発事故をめぐって福島県の全市町村や隣接する宮城、茨城、栃木各県の住民約3800人が国と東電に損害賠償などを求めた集団訴訟の判決が10日に福島地裁であり、金澤秀樹裁判長は「国が東京電力に津波の対策を命じていれば原発事故は防げた」として国と東電の責任を認め、約4億9000万円余の賠償を命じた。
 同判決は福島原発を襲った津波について、「平成14年(2002年)に政府の地震調査研究推進本部が発表した地震の評価は、専門家による議論を取りまとめたもので信頼性を疑う事情はない。国がこれに基づいて直ちに津波のシミュレーションを実施していれば、原発の敷地を越える津波を予測することは可能だった」と指摘している。国や東電が「専門家さえ予測できない想定外」としてきた弁明は完全にくつがえされた。
 国が津波対策を怠った、その直接的な責任者が第一次政権時の安倍晋三首相であることをマスコミはほとんど報じていない。
 日本共産党の吉井英勝衆院議員(当時)は、日本の原発が地震や津波で冷却機能を失う可能性があることを06年から再三にわたって追及していた。吉井氏は京大工学部原子核工学科出身で、以前から原発問題に取り組んでいた。同年12月13日、政府に提出した質問主意書では、「巨大な地震の発生によって、原発の機器を作動させる電源が喪失する場合の問題も大きい」と危険性を指摘している。
 この質問主意書に対して同年12月22日に「内閣総理大臣 安倍晋三」名で出された答弁書では「御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである」。安倍首相は非常用電源喪失に関する調査や対策強化を行わなかった。11年に原発事故が起きても不作為の謝罪も反省もせず、菅直人首相(当時)の「海水注入中止命令」などデマをでっちあげて民主党に責任をかぶせ続けた。
 格差と貧困の拡大。そして北朝鮮問題におけるマッチポンプ。安倍政権を総選挙で終わらせなければ「国難」は積み重なる一方だ。