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本流逆流(7月25日付コラムより)
2018/07/26

 「命にかかわる危険な大雨」を最後に梅雨が明けたと思ったら、今度は「命にかかわる危険な暑さ」が続く日本列島である。心頭滅却すれば火もまた涼しとはいうが、熱中症には注意が必要だ。
 高齢者の死亡が多く伝えられる中で、17日には愛知県豊田市で小学1年の男児が校外学習から戻った教室で休憩中に意識を失い死亡した。教室にエアコンはなく、4台の扇風機しか設置されていなかったという。
 文科省の調査によると公立小中学校の普通教室のエアコン設置率は2017年の調査では49.6%。都道府県でばらつきがあり、東京99.9%、香川97.7%に対し愛知は35.7%。北海道や東北など気温が低い地方は設置率も低いが、そうではない所でも奈良は7.4%、愛媛は5.9%。奈良や愛媛の場合、保守勢力が強い土地柄も関係あるのではないか。
 例えば自民党・山田宏参院議員は東京都杉並区長時代(1999〜2010年)に都内23区で唯一、区立小中学校のエアコン設置を認めなかった。2014年8月、当時は次世代の党幹事長だった山田氏は産経新聞のインタビューにこう語っている。「社会に出れば、不快な環境でも集中しなければならない場面がいくらでもある。生きる上で必要な耐性を高めるため、あえて不快な環境をつくることも、ときには必要ではないだろうか」。
 「不快な環境」はエアコンのない教室だけではない。根性を合い言葉に年がら年中、朝から晩まで練習漬けで理不尽な上下関係を強いられる部活動、そして体罰。耐性というのはブラック企業による酷使や、軍隊生活に耐えうる強靱な肉体と精神のことか。
 耐性を高めるも何も、命を失っては元も子もない。豊田市は今回の事故を受けて小学校の教室のエアコン設置工事を前倒しで進める方針を決めた。自治体の財政難もエアコン設置の障壁だが国の補助は費用の3分の1。国に金がないわけではない。オスプレイを買う金があったら学校のエアコンに回せ。