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本流逆流(11月15日付コラムより)
2018/11/15

 入管法改正の議論とともに強調される「人手不足」。リーマンショックと「年越し派遣村」から10年でこうまで変わるものなのか。ブラック企業は相変わらず若者を選別し、使い潰している。景気が悪くなればまた平気で首を切るんじゃないか。
 トラック、バス、タクシー、介護など「人手不足」といわれる業界は総じて低賃金か長時間過重労働か、あるいは両方である。“搾取できる日本人奴隷が足りなくなったので外国人奴隷を連れてこよう”とばかりに一部のタクシー経営者は“外国人実習生制度を我が業界にも”などと平気で口にする。劣悪な労働条件をそのままに「人手不足」が解消されることの意味を考えれば、私たち労働者は安易に経営者目線で「人手不足」「乗務員不足」などと口にすべきではない。
 とはいえ少子高齢化で人口が減り続け、首都圏に人を吸い取られた地方が危機的状況にあるのは間違いない。そして年金や健康保険制度がこのままでは破たんするというのであれば外国人に救いを求めるよりほかあるまい。移民受け入れ自体は悪ではない。それを悪とするのはゼノフォビア(外国人嫌悪)であり、レイシズム(人種主義)である。かつて“移民受け入れは必要だが居住区は分けるべき”と新聞のコラムに書いたのは作家の曾野綾子氏だが、こんな主張でも一定の支持を得るのは日本が人権後進国である証左だ。
 安倍政権は“入管法改正は移民政策ではない”という。たしかにやろうとしているのは移民ですらなく、外国人実習生制度の拡張、単なる奴隷的労働力の輸入である。実習生は職業選択の自由も居住の自由もなく、労基法・最賃法も守られていない。彼らの人権を自国民と同じく保障し、社会のメンバーとして受け入れるべきだ。
 海外では外国人の地方参政権を認める国もあるが、日本ではまだハードルが高い。支配層が最も恐れるのは外国人が“臣民”日本人の権利意識を覚醒し、人種を超えた団結が実現することである。人権を守る真の移民制度の確立を、日本の未来のために。