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本流逆流
2019/04/25

 東日本大震災・福島第一原発事故から8年余。チェルノブイリ事故に匹敵する「レベル7」の放射能汚染によって住み慣れた土地を追われた人々の苦しみが続く中、経団連は原発再稼働・新増設の推進や老朽原発の運転期間延長を政府に求める「提言」を発表した。再稼働について「地元の理解を得たうえで」としているが、また交付金という札束で頬をはる気か▼「提言」を主導した中西宏明・経団連会長は原発メーカーの日立製作所会長である。福島事故以降、世界的に安全対策費用が急増したことから日立は英国での原発建設計画が凍結に追い込まれた。安倍政権が推進してきた原発輸出は全案件が頓挫したことになるが、日立を含む原発利益共同体は国内回帰を判断したということだろう▼「提言」には「投資」の二文字が頻出する。「海外から見て不透明感が強いわが国のエネルギー政策の方向性が明示されることで、海外の事業者や資金を呼び込みやすくする効果も期待できる」などと原発ゼロを否定する理由を隠さない▼福島第一原発の周辺自治体では避難指示が次々と解除されている。解除に当たって政府が定める放射線量の目安は「年間積算線量20ミリシーベルト(mSv)以下」。チェルノブイリ事故では年間1mSv超で移住か居住継続の選択肢を住民に与え、同5mSv超で移住義務を課しているがこの差はなんだ▼自主避難者への支援も打ち切り。オリンピックだの万博だので世間が浮かれる中、原発事故はなかったことにされ、被害者は泣く。こんな国に未来はあるのか。(う)