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本流逆流(10月25日付コラムより)
2019/10/25

 台風19号が上陸した10月12日、安倍首相は終日公邸で過ごし、台風が通り過ぎた翌朝9時すぎになってようやく非常災害対策本部の設置を表明した。
 昨年の西日本豪雨の際も初動の遅さに批判を浴びた安倍首相だが、「間違った指示を出して被害が出れば、安倍首相が批判されて権威が失墜する。何もしなければ、批判に晒されるリスクを回避できる」と分析した戦史研究家・山崎雅弘氏のツイート(13日)に真実味を感じる。
 14日の「NHKニュース7」では被災地の状況を真剣な面持ちで伝えていたアナウンサーの表情が、前日のラグビーの話題に移ったとたんにガラッと明るくなった。パブリックビューイングで歓喜に沸く人々の姿が、この国のありようを如実に映しているように見えた。東京都台東区の避難所はホームレスの人の受け入れを拒否したというではないか。
 被災者の絶望や不安は歴史的偉業で打ち消せるものではないだろう。刻々と死者が増え続ける中で試合は行われた。大会組織委は主催者「ワールドラグビー」に状況をどう説明したのか。自民党・二階幹事長は13日の段階で「まずまずに収まった」と発言したが、批判されて当然だ。
 昭和天皇が死去した前後の自粛ムードを忘れはしない。高校ラグビー決勝も中止になった。
 「即位の礼」のパレードは3週間弱の延期となったが、宮内庁は15日の時点では「計画通り」に進めるとしていた。「平成の代替わり」の際には通らなかった自民党本部の前を、今回は通るらしい。