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本流逆流(1月5日付コラムより)
2020/01/08

 11月29日に中曽根康弘元首相が世を去った。国鉄分割民営化の目的が総評・国労つぶしにあったことは故人が生前、テレビや雑誌で語った通りである。民営化を「功績」とする評伝が大半だが、現実には国労組合員200人が自殺に追い込まれた。以後、労働運動は衰退の一途をたどることになる。
 〈「昔の国鉄はひどかった」という時に真っ先に出てくるのが「ストをやっていた」というのだからわが国で労働者の給料は上がらない〉(ツイッター@marxindo、12月1日)──1990年代以降、日本の賃金はほとんど上昇していない。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると2017年の平均年収は90年のそれを7万円上回っているにすぎない(東洋経済オンライン/経済ジャーナリスト・岩崎博充氏)。厚労省の賃金センサスから推計すると、タクシー運転者の年収は全産業の平均を200万円以上も下回る。
 労働者は組織に団結しなければ経営者と対等にわたりあえない。新たに労働者をバラバラにする企(たくら)みがギグ・エコノミー=安倍政権が推進する「雇用によらない働き方」である。ライドシェアもこれに該当する。労働者は経営者に雇われるのではなく個人事業主として扱われ、労働法による保護や規制の対象外となる。過重労働も低賃金も自己責任。労働条件改善を要求しようにも経営者は「雇用関係がない」との理由で交渉をはねつける。
 B型賃金やリース制で労働者分断の流れに棹をさしてきたタクシー業界。そこに身を置く我々だからこそ、ギグ・エコノミーに対する闘いでは先頭に立たなければならない。組織も産業の枠も越え、デモもストも盛大に行おう。2020年は労働者奴隷化を食い止められるか否かの分水嶺、決戦の年だ。