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本流逆流(5月5日付コラムより)
2020/05/07

 小池百合子・東京都知事がゴールデンウィークを含む12日間を「死活的に重要な期間」「ステイホーム(家にいよう)週間」として、スーパーでの買い物を3日に1回程度に減らすよう呼びかけた。「ステイホーム」という言葉は米国の外出禁止令「Stay at home order」からきているものと思われる。
 その米国では黒人の感染率・致死率が他人種に比べて高く、シカゴでは人口比3割の黒人が感染死の7割超を占めるという。背景に人種間の経済格差、貧困問題がある。
 日本のような国民皆保険制度がなく、普段から適切な医療が受けられない、食生活もジャンクフード中心となると、重篤化の要因となる糖尿病や高血圧など基礎疾患が必然的に多くなる。さらには経済格差が学歴の差となり、黒人は感染リスクの高い対面サービス業で働く人の割合が高い。
 日本に話を戻す。「一致団結してウイルスに立ち向かおう」との声を聞かぬ日はないが、実態はこうだ。「すでに2週間ほど派遣社員だけが出勤しています。テレワークの社員に会社にいないとできない仕事をメールで指示され時間が過ぎていきます。都内に毎日出勤は怖いし、悲しいです」(ツイッター、@prin738)。
 こんな書き込みもあった。「選民思想なのかなと思う。特にロスジェネ世代。俺たちは入社試験勝ち抜いてんだ。同じ職場にいても違うんだよ!差別化しないと気がすまない」「会社もここで差別化することで、正社員の士気をあげ、他の問題から目を逸らさせることができる」「穢多非人を作った徳川幕府のよう」(@15_2_28、原文ママ)。
 「一致団結」の必要性に異論はない。ただし、それは生存権が等しく保障された者同士の団結でなければ、屍の山を築いた戦前の全体主義と変わらない。一人たりともブラック国家を守るための「英霊」にしてはならない。