HOME  <  ハンドルおおさか

ハンドルおおさか

ハイヤー・タクシー・観光バス労働者の新聞

過去のトピックスのトップへ

詳細記事

本流逆流(5月15日付コラムより)
2020/05/15

 安倍政権がパンデミックのどさくさに紛れて検察庁法を改悪し、「官邸の用心棒」とも噂される黒川弘務・東京高検検事長を検察トップに据えようとしている。医療崩壊の危機が迫り、余儀なく廃業を選ぶ商店主、職を失い今日の飯にも事欠く労働者もいる中で、いったい何をやっているのか。
 本来なら黒川氏は2月8日の誕生日で63歳の定年を迎え、退官するはずだった。しかし政府はその1週間前、1月31日に黒川氏の定年延長を閣議決定した。延長に関する法解釈を唐突に、口頭決裁で変更するという前代未聞の暴挙だった。それを合法化するのが法改正の狙いだ。東京高検検事長は検事総長の待機ポストと位置付けられており、8月に検事総長人事が控えている。
 黒川氏は昨年1月までの計6年余、法務省官房長として3年10か月、事務次官として2年4か月、安倍政権を支えてきた。その間に起こった小渕優子元経産相の政治資金規正法違反・証拠隠滅、松島みどり元法相の公職選挙法違反、甘利明元経済再生担当相によるUR都市再生機構への口利き疑惑、下村博文元文科相の加計学園パーティー券200万円不記載、森友問題で佐川宣寿元国税庁長官以下37名が手を染めた公文書改ざん、これらはすべて不起訴となった。
 「火事場泥棒」との批判を浴びながらも政府・与党がなりふり構わず突き進むのは、検察まで支配しなければ安倍首相と周辺の人間が逮捕されるという危機感の表れではないか。森友・加計問題、桜を見る会の捜査をあきらめきれない検察官も多かろう。
 罪を犯した権力者を捕らえ、裁くことができなければ近代国家とはいえない。この国が人治主義、縁故主義で腐っていくのを黙って見過ごすわけにはいかない。SNSでの発信や、地元与党議員への抗議・要請など手を尽くしたい。