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冨田真平弁護士が解説─大阪労連「三四労の会」学習交流会
2020/12/15

冨田真平弁護士が解説─大阪労連「三四労の会」学習交流会 学習会で「解雇の金銭解決制度」の危険性を解説する冨田弁護士(12月2日)

財界が導入狙う「解雇の金銭解決制度」
組合員狙い撃ち解雇百害あって一利なし


 大阪労連の30代、40代の活動家のつどい「三四労の会」は12月2日、「第17回年末学習交流会」を自交会館でひらき、冨田真平弁護士(きづがわ共同法律事務所)が「解雇の金銭解決制度」などについて講義を行いました。

 労働契約法16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用(らんよう)したものとして、無効とする」と定められています(解雇権濫用法理)が、違法な解雇であっても使用者が金銭さえ支払えば雇用関係が終了してしまうのが「解雇の金銭解決制度」です。
 現在、厚生労働省の検討会では「解雇の金銭解決制度」を“導入するか否か”の議論をしているのではなく、導入する前提で具体的な制度の中身について議論が行われています。
 冨田氏は「解雇の金銭解決制度」について、
 ▽使用者が解雇のコストを予測できるようになり解雇しやすくなる。コストの水準が一般化すると手切れ金を提示して退職勧奨・強要することも考えられる。
 ▽労働組合員の狙い撃ち解雇に使われる。この制度はすべての解雇・雇い止めが対象であり、労働組合員であることや組合活動を理由とする解雇も対象に含まれる。
 ▽解雇が容易になると、労働者が萎縮して職場での権利行使が難しくなる。
 ▽労働者の長年のたたかいの中で勝ち取られてきた解雇権濫用法理が骨抜きにされる──などの問題点を挙げ、「絶対に導入させてはいけない制度だが、このコロナで一気に進む可能性もある」と警鐘を鳴らしました。

推進派のデマつぶせ

 また冨田氏は、同制度の推進派が“これは労働者のための制度”“金銭解決という選択肢が新たに増える”“泣き寝入りせざるを得ない労働者を救うことになる”などと宣伝していることについて、「現在の訴訟や労働審判でも解決金による和解は可能であり、“選択肢が増える”というのは誤り」「この制度で金銭解決の権利を行使するためには、訴訟や労働審判に持っていき、そこで解雇が違法であることが認められる必要がある。時間やコストは現状と変わらず、泣き寝入りしている労働者を救済することにはならない」と指摘。
 導入阻止に必要なこととして、「一般の労働者には問題点が浸透していない。労働者にとっては百害あって一利なしの制度だということをわかってもらうことが大事。推進派のデマをつぶしていかないといけない」と強調しました。