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本流逆流(5月25日付コラムより)
2021/05/26

 コロナ変異株が猛威を振るい医療崩壊が現実に起こっている中、最近の世論調査では東京五輪の中止・延期を求める声は7割にものぼる。にも関わらず菅首相は「すでにIOCが開催を決定している」の一点張りだ。昨年来、“いくらなんでも五輪は無理だろう”と誰もが見立てていたが、このまま時間切れを迎えるのか。
 中止にできない理由がメディアやネットで語られる。莫大な違約金を支払わないといけない。これまでの投資がすべて無駄になる。東京が中止で北京の冬季五輪が開催となればメンツがつぶれる。電通がIOCから買った放映権をアジア22か国に販売済みで、中止になると払い戻さなければならない──いろいろあるが、人命と天秤にかけてもよい理由などひとつもない。
 NHKでは「今日の感染者数・死者数」を報じた同じニュース番組で「聖火リレーダイジェスト」などとやっている。まるで戦時下の「大本営発表」だ。アジア太平洋戦争は軍事的に大勢が決した後も非戦闘員が屍の山を築くまで終わらなかった。
 五輪が仇となってコロナが制御不能に陥った場合、誰が責任を取るのか。「仮定の話」に答えられない宰相など無責任の極みだ。