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全業種確定もトラック例外多数
2022/11/08

改善基準改正 事業者側後ろ向き発言繰り返す


 自動車運転者の労働時間等の改善基準告示の改正を審議していた労政審労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会は9月27日、第9回専門委員会をひらき、改正案をまとめました。遅れていたトラックの改正案が9月8日の専門部会でまとまったのを受け、すでに3月にまとまっていたハイタク・バスの報告と合わせて、全業種の改正案がまとまりました。
 専門委員会では、今後のスケジュールが示され、今年10月に労働条件分科会に報告、12月に改善基準告示改正(同時期に通達も策定)、24年4月から改正改善基準告示が適用となります。
 最後にまとまったトラックの改正案は、様々な例外規定が設けられています。たとえば1日の休息期間については、原則はハイタク・バスと同じ「継続11時間を基本とし、9時間を下回らない」となっていますが、今までなかった例外が加わり、長距離貨物運送で泊り勤務の場合は、1週間について2回までは8時間も可(ただし泊り勤務終了後12時間以上の休息期間)とされています。

原則崩す荷主の存在

 原則を崩すような例外を多数設けたのは、審議のなかで使用者側が荷主の圧力が強いから実態に合わせた規制にしなければ守れないと主張したことを認めてしまったもので、全体としても不十分な総拘束時間の短縮とあわせ、実効ある労働時間短縮の趣旨を逸脱したものになっています。
 とりまとめた報告では「令和6(24)年4月以降の上限規制及び改正後の改善基準告示の適用後の運用状況を把握することとし、これらの適用後3年を目途に、そのための実態調査の設計等を含め、見直しに向けた検討を開始することが適当である」として、適用後の見直しに触れています。
 専門委員会では、各委員から発言があり、ハイタク労働者委員は「休息期間が11時間とならなかったことは残念に思うが、総拘束時間の短縮もふまえ、9時間の休息期間もそうたくさんできるものではないので了解した」と述べました。
 ハイタク使用者委員は「使用者側の意見も聞いていただいて感謝している。歩合給で労働時間短縮には抵抗があり、急速な変化は望まない。一定の時期には時間外労働の上限を一般則720時間に合わせないと人が集まらないが、すぐは難しい」と早期の見直しをけん制する発言をし、トラックの使用者委員は「労働時間を縮めることは重要と認識している」としながら「荷主の影響が大きい。商慣習の見直しがされないと改善は難しい」と主張するなど、最後まで総じて使用者委員は後ろ向きの発言を繰り返しました。