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2023権利討論集会 雇用の安定は全ての労働者の願い
2023/03/07
テンポ良く話す川村教授の講演は、あっという間の90分間だったと感想を寄せる参加者が続出した権利討論集会
具体的な事案示し、みんなで議論深める
民主法律協会(豊川義明会長)は2月18日、中央区のエルおおさかで2023年権利討論集会を開催し、北海学園大学の川村雅則教授に「労働者が主役の時代へ〜カギは『無期雇用の実現』、『団結』にあり〜」とした記念講演と、それぞれ実践的なテーマを設けた5つの分科会で議論し学習を深めました。
コロナ禍での開催となった2023年権利討論集会は2月18日、午前午後と会場、Zoomあわせて約250名が参加しました。
主催者を代表し豊川会長は、民法協が1973年に結成され日本社会の民主運動を守る基盤として奮闘してきたことを紹介し、とくに人権問題と憲法問題を強調しあいさつしました。
同会長は「人権とビジネスに関する主導原則というものが国際連合で確認され、日本の国自身も人権の中心のところで正規も非正規も含めて労働者を守らなければならない。ただ、日本企業の中の中核で動いている労務政策と国際的なグローバル、社会の中の人権基準とが大きく矛盾していて彼らは包囲されている。その点についておおいに確信を持って進めて行きたい」と語りました。
全体会では、まず北海学園大学の川村雅則教授が「労働者が主役の時代へ〜カギは『無期雇用の実現』、『団結』にあり〜」とのテーマで記念講演を行いました。
同教授は、無期転換逃れの雇止め、非正規公務員、公契約条例、学生アルバイト・ワークルールなど多岐にわたる問題について、実体験も交えてテンポ良くわかりやすく話しました。
無期転換逃れが当たり前の社会ダメ
同教授は「2023年3月は、研究者の10年雇止めや、非正規公務員の3年雇止めが危惧されます。無期転換逃れの雇止めも横行しています。無期転換逃れが当たり前の社会にしてはならず、大学、役所、会社すべての職場で無期転換逃れを許さないための取組みが必要である」と、問題提起しました。
川村教授は「雇用の安定」で、労働者が安心して働き暮らしていくためには、雇用の安定が何よりも大切であり、労働者が主役の時代を迎えるためには雇用の安定、団結が欠かせません。雇用の安定はすべての労働者の願いであり、公務員も民間も、正規も非正規も関係なく、団結して取り組むことの重要性を何度も強調しました。
また、全体会では、(1)労働法制の改悪(解雇の金銭解決制度の導入、裁量労働制の適用対象業務の拡大)に反対する決議、(2)非正規労働者の雇止めを許さず雇用の安定・待遇の改善を求める決議、(3)敵基地攻撃能力の保有及び軍事費の大幅な増額を定める安保3文書改定の閣議決定に反対する決議、(4)カジノ誘致計画に反対し、府民本位の政治への転換を求めるなどの4つの決議が全会一致で採択されました。
午後からは5つの分科会((1)裁判・労働委員会闘争、(2)有期・パート、派遣など非正規雇用、(3)過労死、(4)フリーランス、(4)ハラスメント)を会場とZoomで開催し、大阪地連の庭和田書記長は、第3分科会で「改正」改善基準告示とこの間の規制緩和の問題点を報告しました。
同書記長は、改善基準告示を改正する厚生労働省のダブルスタンダードを厳しく批判したうえで「公道を職場とする交通運輸労働者の拘束時間は、本来一般産業で働く労働者よりも厳格にしなければ、過労の蓄積による居眠り運転や健康を起因とする交通事故が発生した場合、一般市民を巻き込む二次、三次被害が後を絶たない」と指摘し、「そもそも過労死認定でも交通運輸労働者が他の産業を遙かに凌ぐデータがあることも厚労省は熟知しているのに、事業者側ばかり見て交通運輸産業の長時間労働を抜本的に変えようとしない、闇が深い問題を抱えている」と報告しました。
いずれの分科会も、最先端の理論や運動を踏まえた内容であり、日頃からの民法協活動の幅広さや奥深さの成果が随所で見られる集会でした。