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特定地域指定期間満了まであと1年
2011/09/26

特定地域指定期間満了まであと1年 「カイゼン作戦」で渋滞はなくなったけど……(9月7日、北新地で)

実働8割の適正車両数では限界
タク運転免許で真の適正化図れ


 タクシー適正化活性化特措法は、きたる10月1日には施行後2年を迎えます。同法施行を受けて大阪市域では「事業再構築」によって1,962両が減休車しました(9月14日現在、近畿運輸局まとめ)。営業収入は東日本大震災直後を除けば対前年比プラスで推移していますが、おおむね1,500円前後で頭打ちになっています。

 本紙1392号で「大阪市域タクシー輸送実績・日車営収」の5月分までについて取り上げましたが、その後、6月分は中型車が28,263円(前年同月比1,616円増、以後カッコ内は前年同月比)、小型車が25,149円(1,567円増)。7月分は中型車が29,780円(1,439円増)、小型が25,458円(684円増)、実働率は80%台が続いています。

3・4月除き営収プラスに転ず

 昨年12月〜今年7月分まで、震災の影響で営収が減した3・4月を除いた6か月分の前年同月比プラス額を平均してみると中型車が1,421円。仮に月12乗務、賃率60%でこの額を当てはめてみると、月給は10,231円増となります。しかし、いま大阪労連のなかまとともに現行の最賃割れの解消にとどまらず「最賃を1,000円に」と奮闘している私たちとしては、この程度で「適正化」を完了させるわけにはいきません。
 大阪市域の減車目標である20%に届いていない事業者や、減休車ゼロの事業者も多く残っており、行政はそれらへのヒアリングを進めているといいます。また近畿運輸局は3通りの実働率(80%・01年度実績・90%)で適正車両数を示していますが、業界紙によると、同局の澤井自交部長が実働率90%を適用した数値を事実上の「判断基準」と位置づけた、と報じています。

業界ボロボロ 労働環境改善せず

 この基準だとさらに1,360両の削減が必要になりますが、労使懇談会の席上大阪タクシー協会の藤原会長は「さらなる減車は難しい」と述べるなど、業界は減車に極めて消極的です。
 特定地域の指定期間満了まであと1年。国土交通省がタクシーの規制緩和を総括せず出した法案でしたが、現況を見るとボロボロの生地にパッチワークを施し、また繕うことの繰り返しにしかならず、根本問題の解決につながりません。
 適正車両数、正確には適正賃金を得られる労働条件の実現に向け“乗務員の質的向上・利用者の利益にも叶い、車両数に縛りをかけられる”「タクシー運転免許」の法制化が必要です。