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ウーバーと連携─暗雲立ち込める全タク連の方針転換
2018/02/15

首相官邸の圧力表面化


 全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連、川鍋一朗会長)は1月17日、「訪日外国人向けタクシーサービス向上アクションプラン」を策定し、米国のUber(ウーバー)や中国の滴滴出行(ディディチューシン)など海外のライドシェア企業(プラットフォーム企業)と配車アプリで連携をすすめる方針を示しました。自交総連(本部、高城政利委員長)はこの方針に対する「見解」を2月2日に発表、「つよい懸念を表明し、海外プラットフォーム企業との安易な連携には反対する」としています。

 全タク連は「アクションプラン」策定の目的として、「2020年の東京五輪に向けて訪日外国人の増加が見込まれる」「海外では配車アプリが普及し、身近なサービスとして社会に定着しているが、海外から直接予約できる日本の配車アプリがない」などを挙げ、「海外タクシー配車アプリと日本の配車アプリの相互利用を進める」との方針を打ち出しています。
 さらに「アクションプラン」には「外国語で接遇できるドライバーの採用・養成を進める」として「中国人留学生等を定時制乗務員(週28時間以内)として採用」「技能実習制度へのタクシーサービス業務の指定(要望)」が盛り込まれていますが、“外国人採用による乗務員充足”の思惑が透けて見えます。
 自交総連の「見解」では「アクションプラン」の問題点として、▽ライドシェア企業は合法的なタクシー配車アプリを入口に白タク合法化への道筋をつけようとしている、▽アプリ使用手数料負担の強要など運転者の労働条件に悪影響が及ぶ恐れがある、▽需要が多い時に運賃が数倍に跳ね上がる「サージ・プライシング」システムでタクシーの公共性が失われる、などを列挙。
 また「プラットフォーム企業は強大な資本力をもち、各国で利用を急拡大させてきた」として「いずれプラットフォーム企業が配車実績において支配的な地位を確立すれば、国内のタクシー事業者はその下請け的な地位に甘んじなければならなくなり、『庇(ひさし)を貸して母屋を取られる』結果となりかねない」との懸念を示すとともに、ライドシェア解禁に前のめりな首相官邸の動きも紹介し、「いっそうの警戒をつよめて、広範な利用者・国民と共同して白タク・ライドシェア合法化反対の運動を強化していく」と結んでいます。