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CREW体験乗車記〈自交本部・東京地連〉
2018/04/25

謝礼という名の相対運賃


 東京の渋谷・六本木エリアで利便性と低価格を売りに利用者を増やし続けている白タクアプリ・CREW(クルー)。3月某日に自交総連本部のなかまと東京地連のなかまがCREWに体験乗車し、運転者との対話を試みました。自交本部がまとめた乗車報告を紹介します。(参照=自交本部「自交労働者情報」4月17日付、運転者の特定につながる情報は省略・修正)

 事前にCREWのアプリをスマホにダウンロードし、氏名、メールアドレス、クレジットカードの登録を済ませると、六本木エリアの某所でアプリを起動。画面上の地図に現在地がマークされていて「ここから乗車する」をタップ、次いで目的地も地図で指定。「近くに車がいます」との表示(この時は1台のみ)が出たのでタップするとマッチングされ、「あと10分で到着します」との表示に。アプリの地図上をアイコン(選んだ車の写真、ナンバーも表示)が移動してきて、10分ほどで到着。CREWの車ですか?と確認して乗車しました。

謝礼の相場は1分50円

 30代と思われるドライバー・Aさんが「後ろの席が狭くてすいません」とていねいな物腰であいさつし、スマホを見ながら「(目的地は)○○○○でいいですか」と確認。改めてカーナビに目的地をセットしてから出発しました。Aさんは私たちの問いかけに対して次のように話しました(大要)。
 「CREWを利用するのはほとんど若い人で、女性が7割くらい。口コミで広がっているみたいです」
 「昼間は仕事をしています。仕事の始まるのが昼からなので、夜にCREWの運転をしています。今日は3時までやるつもり」
 「謝礼をドライバーから要求したり、いくらが良いとか金額を言ってはいけないことになってます。運営さんから強くそう言われているんです」
 「任意だからいくらでもいいんですが、ほんのちょっとの距離で1200円もらって喜んでた人がいました。相場は、まあ1分50円くらいですかね」。
 「謝礼が少なくて、ドライバーからの評価を★1つにした人とは、もう次からは私の車とはマッチングされない仕組みになってるんです」

利用者も評価される

 移動時間20分ほどで目的地に到着すると、Aさんは自分のスマホを操作して到着を入力。すると、連動してこちら側のスマホに精算画面が出てきました。ドライバーの対応は丁寧か、会話は楽しいか、運転は丁寧か、車両は清潔か、など個別に評価をチェックしてから、全体で★5段階で評価をします。今回は★5つの最高評価を入れました。
 次に「謝礼」を支払う表示があり、画面上のバーをスライドすると、0円から100円単位で無段階に「謝礼」額が表示されます。今回は2千円台で止めました。画面上には、「謝礼」を含めた決済金額の合計が表示されます。
 決済額の内訳は「謝礼」+ガソリン代+「マッチング手数料」(20円/1ドライブ)+「安心安全保証料」(20円/分)。「謝礼」以外の実費の合計は500円台でした。「謝礼」を含めた総額から初登録特典として1000円値引きされていました。
 こちらがつけた評価はドライバーのスマホにすぐ表示されるようで、「高い評価をしてもらってありがとうございます、私の方も★5つにしておきます」と言われました。
 CREWは「謝礼」について「支払いの有無及び金額ともに任意」としていますが、この乗車記からもわかるように「謝礼」支払いを促しているのは明らかです。そもそも「謝礼」がなければ運転者にとってはメリットがなく、運転者が集まらなければCREWは成り立ちません。経産省がいう「グレーゾーン」どころか真っ黒の白タクアプリと呼ばざるを得ません。(編集部)