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白タクが地域壊す 交通政策再考せよ
2018/05/25

白タクが地域壊す 交通政策再考せよ 滋賀県タクシー協会に白タク合法化阻止の共同を要請する関ブロのなかま(左8人、15日)

大津市・滋賀県タクシー協会に要請


 「観光客の誘客促進」「地域住民の日常的な移動手段確保」を目的にライドシェアを導入する国家戦略特区提案を行なった滋賀県大津市。自交総連関西ブロックは5月16日に同市役所・未来まちづくり部に赴き、「地域公共交通の崩壊を招く交通政策の再考を求める」要請を行いました。また、その前日には滋賀県タクシー協会に「白タク合法化阻止」に向けた共同を要請しています。

滋賀県タクシー協会 特区で経営揺らぐ公共交通の分岐点


 滋賀県タクシー協会(守山市、田畑太郎会長)への要請行動では、協会側は濱田隆久専務理事と野崎善則常務理事が応対しました。
 組合側は「特区申請が認められるとタクシー事業者やバス事業者の経営が揺らぐことになり、地域公共交通の崩壊を招く。こうした事態は県外の我々としても看過できない」と要請趣旨を説明し、同協会の取り組みや見解を訊ねました。
 協会側は「県内の市町を全部回って(ライドシェア)反対の文書を手渡した。県議会最大会派の自民党にも要請しているが決議には至っていない」「特区申請の答えがいつ出るのかわからないので、いまのところは、やるべきことはやるが、“答え待ち”」と回答。
 また、市長、副市長、担当部長ら大津市幹部と4月16日に面談を行なったことを紹介し、「(市側は)観光や過疎地輸送についてタクシー事業者が対応できない部分を対応したいとのことだった。(協会)会長からは“すべて私どもに言っていただければ対応させていただく”と話し、一定の理解を得た。担当部長からはバス・タクシーも含めた専門的な議論の場をつくりたいとの回答も得た」「6月1日に開かれる地域公共交通会議に(バス・タクシーも参加する)交通部会をつくるという議題をあげていただいている。そこで何らかの提案はされてくると思う」と話しました。
 組合側は「いまは地域公共交通を守れるかどうかの分かれ道。自治体も考える、事業者も考える、乗務員も考えるターニングポイント」「市民には声を大にして、市長がやろうとしているライドシェアの危険性を知らせないといけない」「滋賀の業界の皆さんにもがんばってもらいたい」と訴えました。

大津市役所 「今後わからない」危険性認識に疑問

 大津市(越(こし)直美市長)への要請行動では、市側は未来まちづくり部から、まちづくり計画課・高木悟課長、同課・交通戦略室の栗田昌伸室長が応対しました。
 市側は特区提案の経緯について、「自家用車による有償運送は道路運送法に抵触するので、まず無償のライドシェアを施策として進めてきたことが素地になっている」と話し、同市が連携協定を結んでいるシェアリングエコノミー協会からnotteco(のってこ、長距離ライドシェア仲介事業者)を紹介され、協議中であることを明かしました。
 また市側は「まだ提案した段階であって、特区認定されるかどうかもわからない」「まだ海のものとも、山のものともわからない、実質的な相談をする段階ではないというところで、タクシー協会とは事前に協議せずに提案させていただいた」「今後どうなるかはまったくわからない。実際にはこれが認定を受けるようなことがあればしっかりと協議を進めていく」との考えを示しました。
 組合側・大阪地連のなかまは「ライドシェアが入ればその地域の公共交通はすべてつぶれていく。地域がライドシェアだけになれば利用者がさまざまな犯罪に巻き込まれる恐れがある」「市長は辞めたら終わりだが、住民はずっとそこに住み続ける。なまじ変なものを持ち込まれたら最終的に多大な犠牲を払うのは市民だ」と警鐘を鳴らし、「我々としてはライドシェアを再考していただきたい。タクシー・バス事業者とよく話し合って、地域の足を守る施策を進めてもらいたい」と訴えました。
 京都地連のなかまは「大津市がライドシェアの問題点を本当に認識した上で特区申請したとは思えない。うまくいくのか、認められるのかわからない、そんないい加減な形で特区申請して、認められたらどうするのか。“これから話をします”でいいのか」と市の姿勢に疑問を呈しました。
 市側は「協議せず提案する形になったことでご心配をおかけして申し訳ない」としながらも「いずれにしても進めるということになれば、しっかりとお話はさせていただく」と推進の姿勢は崩しませんでした。