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討論まとめ(抜粋)・庭和田裕之書記長
2019/12/05

非人道的な労働は許さない


 運賃改定の頓挫や道路運送法の改正など2020年春闘はすべての単組で、きびしい状況になると言わざるを得ません。運賃改定が年度末までにされるのかどうかという問題もありますが、配車アプリが普及期から利益回収期に移行し、ライドシェア企業の大赤字決算を見ても早晩、手数料が高騰していくのは間違いありません。
 タクシーの運賃は総括原価方式ですから、本来ならアプリの手数料も運賃に乗せなければいけません。ところが現時点でも一部の事業者はチケットやクレジットカードの手数料を乗務員に負担させているのが実態です。
 一般的にタクシーの純利益は営収の約3%といわれています。そこへアプリの手数料が2.5〜3%とか8〜10%なんて、運賃に乗せないで収まるわけがない。クレジットカードの場合は乗車回数に占める割合が今までは低いから、手数料負担もさほど大した額にはならなかった。アプリの場合は、これが浸透してほとんどの利用者が使うようになれば手数料3%でも利益が吹っ飛びます。この問題を根本的にどう対処するのか、国土交通省にはずっと問うていますが、具体的な回答は返ってきません。
 いま我々に押し寄せてくる新たな問題として認識しておかなければならないのは、これまで獲らなかったアプリの手数料負担を乗務員に押しつけてくるのではないかと、一部事業者のようにそもそもの運賃収入から引くという手法をとる可能性も大だと思うのでそこも注視して、同時に労働組合の運動としてそういうことを許さないという声をあげていきたいと思います。

キーワードは「共同」

 ライドシェア合法化阻止闘争は、我々の職場を守る問題と、利用者が安心安全に使えない乗り物が増え、人命に関わる問題だという怖さを、どれだけ多くの人に伝えきれるのかが問われます。闘いのキーワードは「共同」ですが、我々のなかまだけの「共同」とは違います。もっと幅広く他産別の組合やタクシー・バスを利用して下さる利用者も含めた幅広い「共同」です。
 安倍首相が働き方改革などと称して推し進めていますが、働き方の問題と、我々の労働者性をなくすライドシェア問題はまさに一対だといえます。いままで我々の先輩たちが勝ち取ってきた最低賃金であるとか労働法であるとかすべて除外され、何も残りません。
 ライドシェア発祥の地・カリフォルニア州でも「非人道的な働かせ方だ」として規制することになりました。結局ライドシェアが何を生み出すのかといえば、上前をはねる奴らだけが儲けて、実際に働く数多くの人は労働者に足る権利もすべて奪われるということ、これで皆さん幸せが訪れると思いますか。
 カリフォルニアでも空港のそばで寝て、仕事をやっても最低賃金にも届かない。我々も過去に味わいませんでしたか。関西空港や伊丹空港で、なかまが車中寝、弁当を食べ、歯を磨いて、夜通しで順番待ち、これで文化的な生活を営めるはずがない。自交労働者が大変な状況に追い込まれるということは、同時に利用者の安心安全に直結するということを利用者にも、もっと知ってもらう闘いを構築しなければなりません。
 普通に働けば安心して暮らせる、本当に生きてきて良かったなと振り返られるような国をめざす闘いも含め、ライドシェア合法化阻止闘争の前進に向け、できうる限りの奮闘をするという決意を表明し、執行部としてのまとめとします。