HOME  <  タクシートピックス

タクシートピックス

更新情報・ニュース

過去のタクシートピックスのトップへ

詳細記事

国際自動車(東京)賃金支払請求事件
2020/04/06

割増賃金の本質から逸脱


 国際自動車(本社=東京都港区)の運転者62人が、歩合給から残業代を差し引く賃金規則は無効だとして未払い賃金の支払いを求めた3件の訴訟で、最高裁第一小法廷(深山卓也裁判長)は3月30日、「残業代が支払われたとは言えない」として労働基準法を逸脱しているとの判断を示し、運転者側が敗訴した二審判決を破棄、審理を東京高裁に差し戻しました。
 報道によると、国際自動車の賃金規則は「残業代の項目があるが、売り上げに応じて支払われる歩合給を算定する際、残業代と同額を差し引かれる仕組み」(朝日新聞)で、「売り上げが同じ場合は残業時間が多くても賃金が変わらない」「この賃金規則は既に改められた」(日本経済新聞)といいます。
 判決は「労働基準法37条が時間外労働について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは、使用者に割増賃金を支払わせることによって、時間外労働等を抑制し、もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに、労働者への補償を行おうとする趣旨によるものである」とした上で、同社の賃金規則は「当該揚高を得るに当たり生ずる割増賃金をその経費とみた上で、その全額をタクシー乗務員に負担させているに等しい」と指摘、「労働基準法37条の定める割増賃金の本質から逸脱したものといわざるを得ない」と断じています。
 (報道はすべて3月30日付)