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東北地連(宮城)センバ流通支部の不当解雇撤回闘争
2020/09/09

東北地連(宮城)センバ流通支部の不当解雇撤回闘争 仙台駅のタクシープール(2011年12月撮影)

解雇無効 仮処分で勝利


 東北地連ハイタク一般労組センバ流通支部は、コロナによる営業の不振を理由に4月に組合員全員を含む整理解雇が通告されていた事件で8月21日、仙台地裁で解雇無効の仮処分決定をかちとりました。コロナで赤字になったなどを理由にした解雇は、雇用調整助成金の利用など解雇回避措置がとられていないことなどから無効と明確に認定されました。しかし、賃金仮払い仮処分については一部しか認めない不十分な決定となっています。

 仙台市の(有)センバ流通(タクシー業)では、20年4月30日の団体交渉の席上で突然、組合員全員を含む従業員の大半に整理解雇が通告されました。会社は“コロナで売上が下がり、毎月赤字がかさみ、事業継続のためには人員削減をする必要がある”として、雇調金の活用などの組合側の提案に対しては“いつ出るかわからない。コロナがいつまで続くかわからない”などとして受け入れずに解雇を強行しました(有期雇用契約の期間満了前の解雇)。このため、4人の組合員が債権者として、地位保全、賃金仮払いの仮処分を申立てていました。
 審尋で会社は、赤字で借金もあり、コロナの影響がいつまで続くか不明のなかで、事業継続のためには人件費を削減するほかないとし、雇調金を利用していないが、雇調金は支給時期が不明であり、その間休業手当の支払を継続するだけの財政的基盤がなかった、などと主張していました。
 決定は、解雇には「やむを得ない事由」(労働契約法17条1項)が必要であり、その判断にあたっては、(1)人員削減の必要性、(2)解雇回避措置の相当性、(3)人員選択の合理性、(4)手続きの相当性(整理解雇の4要件)の各要素を総合的に考慮して判断すべきであるとしました。
 そのうえで、(1)人員削減の必要性があっても、ただちに整理解雇を行わなければ倒産が必至であるほどに緊急かつ高度の必要性があったとはいえず、(2)雇用調整助成金や臨時休車措置等を利用した解雇回避措置が可能であったにもかかわらずこれを利用していないという点において解雇回避措置の相当性が相当に低く、(3)人員選択の合理性及び(4)手続きの相当性も低い――として、解雇は無効と判断しました。

賃金仮払い
一部しか認めず


 しかし賃金仮払いについては、得られるべき賃金を最低賃金の休業手当分(6割)として低く見積もった上、4人のうち3人は減額され、1人は年金収入と貯金がある等の理由で認められず、地位保全については賃金仮払い仮処分を超えて必要性を認めるべき特段の事情がないとされました。「年金収入」「貯金」がなぜ賃金不払い容認・被告免責の理由になるのでしょうか。ここでも経営びいき、労働者軽視の不公平司法が繰り返されたといえます。