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時には困惑、疑心暗鬼も──視覚障がい者からタクシーへの意見・要望
2021/05/06

「緊急時に運賃上げることには反対」
「音声案内で安心感」「到着時補助を」


 自交総連本部が4月14日に全日本視覚障害者協議会(全視協)と懇談した際に、視覚障がい者がタクシーを利用する際に困っていること、要望などを寄せてもらうよう、全視協から会員のみなさんに声をかけてもらったところ、たいへん多くの意見が寄せられました。詳細は整理して後から公表しますが、とくにくわしく感想を寄せてくれた方の意見を紹介します。目が不自由な方がタクシーを利用する際の不安な気持ちがよくわかります。
 (文章は全視協による文字起こし、一部要約。自交総連本部『自交労働者情報』4月22日付)


外の風景を見ながら
道案内できません


岡山県のAさん

 目的地までのルートが怪しい方がたまにいらっしゃいます。こちらは視覚障がい者なので外の風景を見ながら道筋をお伝えすることはできません。
 たまに「○○が見えてきたけど、その近く?」など視覚情報が得られないものにとっては答えられないご質問をされる方もおられ、困惑することがあります。
 乗車しているものとしては不安になると、最適なルートで進んでいるのか、わざと遠回りして料金が高めに請求されるのではないか…と要らぬ疑心暗鬼も生じてしまいます。
 さまざまな課題があるかもしれませんが、カーナビを全車搭載いただき、ナビの音声案内を聞こえるようにしておいていただけると安心感が増すように思います。
 状況によっては目的地の真ん前に停車できないことは少なくないと思います。その際、停車位置から目的のところまでの案内をお願いしたいです。まずは口頭でもよいので、自力で行けそうかどうか尋ねていただけるとありがたいです。

気配りで安全に乗車

 ありがたかった事例として、乗車時に目的地を伝えたところ、おおよそかかる時間を教えてくださった方がいらっしゃいました。目的地で迎えに出てきてくださるスタッフの方に到着予定を連絡することができ、本当にありがたかったです。
 また、ルート案内をしてくださる方もいて、「もうすぐ信号があって、そこを右に曲がるよう」とか「ちょっと下り坂がきついからね…」などと話してくださるので、気持ち身体のバランスを保つよう意識できました。安全な乗車ができたように感じ、ありがたかったです。
 降車した駅で介助くださった方が、タクシー乗り場で目的地を知っているかどうか尋ねてくださり、わかると答えた方の車に乗せてくださいました。視覚障がい者は自力で目的地までの道筋を案内することが難しいので、このように確実にわかってらっしゃるタクシーを準備くださることは大変ありがたく安心です。


会社名の点字表示必要
運賃額を音声で伝えて


奈良県のBさん

 乗車した時に、会社名とお名前を名乗っていただきたいです。もし忘れ物や苦情などあった場合、私たちは自分が乗ったタクシー会社すらわからないのです。
 会社名を点字と大活字で表示してほしい。その際、場所を統一してほしい。
 運賃を音声で伝えてほしい。タクシーの補助券を利用したり、障がい者手帳を利用しても、自分で確認することができません。
 もちろん今回問題になっています緊急時に運賃を上げることには反対します。


障がい者手帳
杓子定規な確認必要?


東京都のCさん

 いつもは、タクシー運転手さんに障がい者割引をお願いしながら自分の障がい者手帳をお見せします。運転手さんは、横目でそれを見て、手帳に触れることはありませんでした。
 ところが、今年、茨城県でタクシー会社に電話してきてもらった時のことですが、運転手さんは、私の手帳を見ながら書き物をされている様子。「何を書いておられますか?」と、尋ねると、「名前と手帳番号を書くのでお待ちください」と言われて、初めてのことに少しばかり驚き、「今まで東京も他県もそんな会社はなかったです。茨城県はそんな決まりがあるのですか?」と聞くと、彼は「会社の決まりなので」と言っていました。
 帰りも同じ会社に電話してきてもらったのですが、帰りの運転手さんは「うちの会社にそんな決まりはありませんけど」と言われたので、何だったのか? いささか心配な心地が残っています。


停車位置 少しの違い
私には大きくて困る


東京都のDさん

 私もだいぶ前にCさんと同じようなことがありました。都内ではなく、他県だったと思います。手帳には住所とか個人情報が記載されているので、必要がなければじっくり見られたくないですよね。
 もう一つ私がタクシーで困っていることは、目的地に着いた時の停車位置です。こちらがお願いした場所が何らかの理由で止まれないのか、「ちょっと先の方に止めますね」とか「ちょっと脇でいいですか?」と、思っていた場所と違うところに停められてしまうことです。見えていれば何の問題もない「目的地付近」なのですが、見えていないとルートのリカバリーが非常に難しくて…。
 運転士さんに、見えないのでわかるところまで案内をお願いしても、ちょっと出られないとか、車を離れられないとか、すぐそこですよと断られてしまって仕方なく降りて進んでみるのですが、ゴミ捨て場に突っ込んだり方向が分からなくなったり…、道路の状況で希望の場所にどうしても止められないこともあるでしょうけど、どこまでが許容範囲でどこからが無茶なのかもわからなくて強く言えません。でもこの「ちょっとの違い」が私には大きくて…、困っています。