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〈参議院国土交通委員会〉変動制運賃問題で論戦
2021/05/26

国交省 導入に前のめり


 5月11日、参議院国土交通委員会で、日本共産党の武田良介参議院議員がタクシーのダイナミック・プライシング(変動制運賃)について質問しました。武田議員は障がい者の声も紹介して、タクシーを使わざるを得ない人が困るのではないか、規制緩和をどんどん進めようとしているのではないかと追及しました。

 武田議員「ダイナミック・プライシングについて利用者の側から導入してほしいという要望があったのか」
 国土交通省・祓川(はらいかわ)直也自動車局長「ダイナミック・プライシングをやってほしいという利用者の声はないが、従来から、もっと安い運賃でとか、もっと利用しやすくならないか、という声が寄せられている」
 武田議員「(自交総連との懇談で)全タク連は『お客さんが増えるとは思えない』『事業者にもいろいろな考えがある』とのことだった。利用者からも要望がないもとでダイナミック・プライシングをして、本当に需要は増えるのか」
 祓川局長「いろいろな見方があるのは承知している。“もう少し安ければ乗るのに”という潜在的なニーズはあるのではないか。今年度は実証実験を実車で一度やってみるという年になる。そのうえで効果があるのかないのか、利用者、運転者、事業者の声もふまえて制度設計をしていきたい」
 武田議員「変動迎車料金が昨年11月に始まっているが、申請があったのか」
 祓川局長「現時点では採用している事業者はない。コロナで乗客が減っていて、平時だったらすすんでいる検討がすすんでいないのかな、ということもある」
 武田議員「変動迎車料金をしたところもない、検証もされていないのに、運賃本体も変動させるという話がどんどん進んでいるのではないか。出発点は河野規制改革担当大臣が昨年末にテレビ番組で“日本型ライドシェアがあってもいいのではないか”“雨が降ったら需要が増えるから運賃を上げてもいいのではないか”といった発言だった。雨でも晴れでも運賃が上がると、障がい者やお年寄りなど普段からタクシーを使わざるを得ない人が一番困るのではないか。視覚障がい者の方(かた)は、“悪天候や災害時に運賃が上がると、他に代替手段のない者は大変困る”と言っている。大臣にはこういう声は届いているか」
 赤羽(あかば)一嘉国土交通大臣「そんなに性急に事をすすめようということではないから、いま言われた声が世の中で沸き起こっているという認識はない。そんなに心配しなくても、安全を損なわないというのがタクシーの大前提だ。河野大臣の発言も、ライドシェアは認めることはできないという上で話をしている」
 「私が従来から言ってきたのは、“タクシー業界も何もしなければ大変なことになる、崩壊する、しっかり利用者サービスをせよ”ということだ。運賃の変更はやってみなければわからないので、実証実験の意味はあると思っている」
 「しかしながら国交省の立場は、あくまで公共交通として考えるということだ。公共交通機関が一物一価でないと混乱を起こすという懸念もあるし、東京と地方ではタクシーの状況が全く違う。地方ではタクシーは公共交通そのものだし、ダイナミック・プライシングを神戸(大臣の地元)でやってもどうかな、という声もある。都心部で他の交通手段もたくさんあるところでやってもいいかなということで実証実験をすることになった。(ダイナミック・プライシングを)まだやると決めたわけじゃないので、そんなに性急にご心配いただかなくても、安全を大前提に実証実験をやっていきたいと考えている」
 武田議員「これ(ダイナミック・プライシング)の導入には、法改正が必要ないとされている。だから国会でも議論してきたわけでもないので、これから十分議論をしていかなければならない問題だ。タクシー業界ではコロナで雇調金特例の延長などを求めているが、ダイナミック・プライシングをやって応援してほしいということではない。コロナ対策の強化も求めて質問を終わる」