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改善基準告示改正 第2回ハイタク作業部会
2021/09/06

改善基準告示改正 第2回ハイタク作業部会 第2回ハイタク作業部会の様子(8月27日、東京都港区の中央労働委員会会館で=自交本部提供)

使用者側「急激な短縮困る」
労働者の健康・安全を軽視


 改善基準告示の改正を審議する労働政策審議会・労働条件分科会・自動車運転者労働時間等専門委員会の第2回ハイヤー・タクシー作業部会が8月27日、中央労働委員会会館(東京)でひらかれました。自交総連本部の菊池書記長が傍聴しました。
(自交総連本部『自交労働者情報』8月31日付)


 作業部会では、前回に引き続き項目ごとに労使双方から意見を出しあい、この日はとくにまとめは行わず、次回の会議では数字の「たたき台」を出して論議することになりました。
 会議では、事務局が前回会議での双方の主張をまとめて説明したうえで、さらにそれぞれの意見が述べられました。
 使用者側の意見は前回同様、“労働時間を短縮すれば賃金が下がって、労働者がいなくなってしまう”というものでしたが、“労働時間の短縮自体に反対するものではないが、コロナもあり、この時期に急激な短縮をするのは避けてほしい”と、急激な変化は困るという点に重点を置いた言い方になっていました。
 労働者側は、“労基法改正の主旨にもとづき時短をすべきで、主張している時間は、厚労省が実施したアンケートからも根拠がある時間だ”としました。
 使用者側の主張は、結局、労働者がいなくなったら困るから現状維持に留めてくれというもので、労働者の健康や利用者の安全を軽視した無責任なものといわざるを得ません。今後、具体的な数字が出てくるに際しては、実効ある改正(時短)が求められます。
 事務局から資料として、過労死の労災補償状況、労災認定と時間外労働時間の関係、勤務間インターバルと労災認定の関係、外国の労働時間規制(インターバルおよび特例規定)、インターバルと睡眠時間の関係についてのアンケート結果などが提出されました。これらの資料は、自交総連が先に提出した意見書で指摘した労働者の健康維持の観点、睡眠を確保するインターバル時間の必要性、特例はなくすべきなどの指摘に即したもので、意見書の主張を裏付けるといえるものです。
 次回(11月頃)には具体的な数字が公益委員から示される予定です。

作業部会での主な主張

 【日勤の拘束時間、休息期間】

労働者側 タクシーに適用される年間960時間の時間外労働の上限からみても1か月275時間は当然の主張だ。今回実施したアンケートの内容とも合うもので適切な時間だ。
使用者側 1か月299時間を275時間にすると1か月24時間、年間288時間も短くしなければならないので難しい。1日の拘束時間も減らさなければならなくなり、出来高給なので乗務時間が1時間減れば賃金が下がる。タクシー運転者の賃金は、昨年はコロナもあって年収300万円になってしまった。退出する労働者が多い。急激な短縮は避けてほしい。
労働者側 コロナの状況は別の問題で、2019年を基準に考えるべき。
使用者側 拘束時間は、あくまで上限なので、みんなそこまでやれということではない。実態は上限までいっていない。生産性の高いドライバーが1〜2割いて、そういう人でも守れる上限を提案している。
労働者側 休息期間は11時間必要。健康維持、睡眠時間の確保など厚労省の資料でもエビデンスがある数字だ。人の命を預かることを考えて原則を決めたうえで、繁忙期対策(例外)の議論はできる。
使用者側 現行8時間から3時間も延ばすのは困難だ。地方からの意見も含め全国的に急速な変更はできないという声がある。時短をして魅力ある産業にすることに反対ではない。
 【隔日勤務の拘束時間、休息期間】
労働者側 2日にわたる勤務は過酷だから1か月の拘束時間が日勤より短くなっている。現行から変えないというのはあり得ない。
使用者側 隔日勤務の1か月262時間というのは、年間960時間の範囲内なので現状でよい。
 【車庫待ち等の規定】
労働者側 どういう形態が車庫待ちなのか定義をしっかりしてから議論すべき。
使用者側 拘束時間を減らすのと比例して減らせばいいのではないか。
公益委員 労使から意見が出ていないが、車庫待ち等の特例で労働時間を延長できることが外だしで決められているのは国際的にあまり例がない。現行の規定は延長できる時間があまりに長すぎる。将来的に、特例を考え直すことも議論していいのではないか。