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変動運賃の実証実験「注文ほとんどない」
2021/11/25

変動運賃の実証実験「注文ほとんどない」 全タク連交渉であいさつする自交本部・高城委員長(左、11月9日・東京都千代田区で=自交本部提供)

自交総連本部・全タク連交渉で明らかに


 自交総連本部は11月9日、全タク連(全国ハイヤー・タクシー連合会、川鍋一朗会長)交渉を行い、需給調整、ダイナミック・プライシング反対などを申し入れました。全タク連側はダイナミック・プライシング(変動運賃制)の実証実験について「注文がほとんどない」と明らかにし、「本当に必要なものなのか」と同制度の導入に疑問を示しました。

 自交本部から高城政利委員長、舞弓義隆副委員長、菊池和彦書記長ら5人が全タク連(東京都千代田区)に赴き、同会側は武居利春副会長(労務委員長)、神谷俊広理事長ら5人が応対しました。
 全タク連への要請事項の柱は、「新型コロナウイルス対策」「白タク合法化阻止」「運転者の労働時間短縮」「労働条件改善」。
 「コロナ対策」では、「乗務員のPCR検査を無償で定期的に実施すること、ワクチン3回目接種が優先的に行われるよう国・自治体に要請すること」を筆頭に、「雇用調整助成金を活用した計画休業」を必要な限り延長して実施すること、需要が回復しない中で需給調整を図るための施策を講じることなどを要請しています。
 全タク連側は「休車・雇調金の特例延長は政府に要請した。全タク連として自民党のハイタク議連に毎月、要請に行って“タクシーを助けてくれ”と言っている。補正予算でどうなるか注目している」と述べました。
 また、「需給調整ということでは、東京では運転者が8千人も減り、緊急事態解除で車を戻しても稼働率は60%くらい。経営維持のためにも運賃改定を視野に入れなければならない」「最賃は来年も確実に上がる。払うのは大変だ。タクシーは自力では経営が維持できない状態。燃料費も値上がりで大変。運賃改定を視野に入れなければならないと問題意識を持っている」と話す全タク連側に対し、組合側は「運賃改定の申請をしたら効率的な経営をしているかが問われる。そのためにも減車が必要」と指摘しました。

休息期間延長に否定的

 組合側は、厚労省の労働政策審議会で議論が続いている「改善基準告示」改正について、労働者の健康を守り、利用者の安全も確保する観点から、休息期間11時間への延長に同意するよう要請。
 全タク連側は「自交総連の意見は読ませてもらっている」としながらも「休息期間11時間は労使でギャップがある。タクシーでも日勤が増えてきていて、拘束16時間(休息期間8時間)の日をつくってくれという声もある」「バス・トラックの使用者側は(11時間はダメという)強硬姿勢だ」などと否定的な態度に終始しました。

「mobiモビ」を注視

 10月から行われているダイナミック・プライシング(変動運賃制度)の実証実験について全タク連側は、「実はほとんど注文が入らない。事前確定運賃がそもそも周知されていないようだ」との実態を明らかにし、「ソフトメーターの実証実験もやっているが今週中には終わる。あまりサンプルもなく本気でやっているのか疑問。“やればいい”という感じではないか」「ダイナミック・プライシングは、地方、東京も含めて本当に必要なのか、という結果が出てくるのではないか」との見通しを示しました。
 また全タク連側は「心配なのはウィラーのmobiモビ(定額乗り放題乗合交通)。国交省は活性化と捉(とら)えて是認しているが、ライドシェアに先行するものになる恐れがある」「総選挙でライドシェア解禁が公約の維新が伸びたので要注意だ。大阪は万博もあるから特区でのライドシェア解禁もありうる」などと危機感を示しました。