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福井勇委員長(北東地区協議会議長)インタビュー
2022/01/05

福井勇委員長(北東地区協議会議長)インタビュー コロナ前最後の宣伝となった「怒りの行動」(2020年2月3日、近畿運輸局が入る合同庁舎4号館前で)

二種免許の価値見失うな


 再度の越年となったコロナ禍の中で危機的状況が続くタクシー・観光バス業界。福井委員長に2022年の展望をうかがいました。(インタビュー=12月15日)
 ──いまのところ白タク・ライドシェア合法化を食い止めてはいますが、ダイナミック・プライシング(変動制運賃)といい、相乗りといい、タクシー業界のほうが白タク化を志向しているように見えます。
 二種免許の価値を見失っています。20年6月に成立した改正道路交通法で、二種免の受験資格が緩和され19歳でも取得できるようになります(22年6月までに施行予定)が、全タク連の要求がかなった形です。
 自動車保険の掛金を見れば若年運転者のリスクの高さは明白です。社会人としての経験も浅いのに接客がつとまるでしょうか。
 全タク連は「人手不足」を解決するために二種免の要件緩和を訴えてきたわけですが、まともな賃金・労働条件を用意すれば労働者は集まるんです。完全歩合制という労働者にとっては不安定な賃金制度を放置してきたツケを払わされてるのが今のタクシー業界のありようです。
 ──このコロナ禍で潰れるタクシー会社が続出するのではないかと危惧されていますが、いまのところは一部にとどまっています。
 搾取しまくってる悪質会社は強いですね。事故を起こした乗務員から損害金を実費でとったり、20万30万の罰金をとったり。
 コロナ禍のいまは社会保険料未納の問題でも行政が大目にみていますから、危機が表面化していないのもあります。
 ──コロナが終息してからのほうがヤバいということですか。
 社会保険料は「免除」じゃなくて「猶予」ですから。コロナ終息後の納付では待ってもらった分を上乗せして納付しないといけないわけですから、すごいことになるでしょうね。
 ──我々の側も、厳しい闘いが待っているということですね。
 「同一労働同一賃金」を悪用して合理化を図ろうとする動きはすでにあります。アプリ手数料問題もディディから火がつきそうです。中国政府がディディに米株式市場から撤退するよう求めていますが、上場廃止となると孫正義氏がいままでディディに投資してきた金が全部パーになるわけで、いまソフトバンクの株価が急落しています。
 ──いまは「労使で力を合わせて危機突破」でも、危機が過ぎれば牙をむいてくると。
 でも危機を突破できずに、いきなり「解散」話になる危険性のほうを、まず警戒すべきでしょう。いままでは、いたずらに「賃下げしないと苦しい」などと揺さぶりをかけてきたものですが、いまは本当に「助けてくれ」という状況です。
 ──会社から「もうアカン、やめます!」といわれた時に、いかになかまを守っていくか。
 暮らしを守るために、なかまを全員受け入れてくれる移籍先を探す、もうひとつは会社をつぶさせないことです。雇用を守るためにがんばってくれと。ただし「協力はするけど協調はしませんよ」というのが労働組合のとるべきスタンスです。本当に苦しい時、誠意をもって話してくれたらそれなりのことを協力するけど、危機を脱した時には必ず、みんなに報いてくれよ、ということです。
 ──最後に2022年の抱負をお願いします。
 オミクロン次第ではありますが、コロナで失われた2年間を取り戻すために、積極的に宣伝行動などに取り組みたいと思います。ダイナミック・プライシングの問題では不利益を被る利用者、たとえば障がい者の方々にも声をあげていただきたいと考えています。
 ──7月の参議院選挙では野党共闘の真価が問われます。
 総選挙では戦後3番目の低投票率の結果、維新が伸長しました。維新がいくら強いといっても、都構想は2回否決されたわけです。あの時は市民も必死になって戦いました。憲法改悪の危険性を市民に訴え、あの時の熱気を再現することが必要です。