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比叡山観光、3億円の負債抱え
2022/07/06

京都地方裁判所 破産手続き開始の決定


詐欺まがいの雇調金申請

 京都地方裁判所は6月13日、最終的に約3億円の負債を抱えた比叡山観光タクシー株式会社(安居稔夫代表・京都市左京区一乗寺稲荷町27)の破産手続き開始の決定をし、破産管財人に伊山正和弁護士(京都総合法律事務所)を選任。破産債権の届出期間を7月25日までとし、9月21日13時15分から同裁判所で債権者報告集会を行うことが決まりました。


 自交総連比叡山観光タクシー労働組合(福田徹委員長代行)は6月29日午後、京都総合法律事務所を訪れ、未払い賃金の速やかな遡及を求める書面を手交しました。
 比叡山観光は、2022年3月15日、安居代表が全従業員を招集し、会社を閉鎖して全員解雇する旨を突如通告。これは事前協議を行うとした労働協約に反するもので、一方的に従業員及びその家族を路頭に迷わせる暴挙です。
 同代表は破産事由として「今般の新型コロナウイルスの感染拡大で国内外の客足が途絶え、それも2年以上の長期にわたっており、経営不振が続き、支えきれず今回の事態に至った」などと述べています。
 しかし、解雇予告する数日前に開催した労使協議会で、同代表は「少なくとも雇用調整助成金が給付される6月末までは大丈夫で、更にその後世間の状況が好転すれば…」との見通しを示していました。しかし今回の件が明るみになった時点で、組合は会社側代理人の草尾光一弁護士を訪ね、何時から相談があったのか訊ねると「以前から相談があった」と応えました。
 安居代表は、組合を直前まで騙しつづけ、自身が手にする金の確保に目処がつけば会社をたたむという計画倒産の疑いが濃厚です。 組合がその根拠の一つとしているのが、解雇通告を出す一カ月前に自らの月給を10万円増やし80万円に上げ、従業員には予告解雇を行いながら安居代表自身も解雇手当と3月分の賃金を得るなど、およそ社会常識では考えられないことを平然と行いました。さらに閉鎖時に退職金約400万円まで手にしたとの噂も職場内で飛び交っていました。
 昨年亡くなった先代は、安居代表の実父であり根っからのワンマン経営者で「営業成績の悪い者は辞めろ」が口癖で、一部社員が最低賃金割れ状態であることを組合が幾度となく指摘しても、改善するどころか無視し続けました。団交で組合は、経営が厳しいと言うのであれば財務状況を明らかにする損益計算書など明示するよう求めても一切応じませんでした。
 一方、会社は閉鎖するまで国から雇用調整助成金を受給し、安居代表は制度の甘さをつき、受給の根拠となる就業日数に関して、労働日数で申請し、社員には歴日で支払うという詐欺まがいの申請を行い、本来社員に支払うべき助成金を手にし、その差額は約7、8000万円に上っていました。組合がこの実態を雇用調整助成金相談センターに申告した際、同センターはすでに把握しており、会社に返還を求めていました。
 さらに、少なくない社員の休業手当の支給額が最低賃金割れし、会社に再三改善するよう求めましたが、最後まで聞き入れませんでした。京都上労働基準監督署は、最低賃金と実際の支給額との差額は、未払い賃金にあたるとの組合の指摘を認めています。
 福田委員長代行は「雇調金の過払い・財団債権が大きいが、少しでも組合員の未払い賃金を回収したい」と語っています。