HOME  <  タクシートピックス

タクシートピックス

更新情報・ニュース

過去のタクシートピックスのトップへ

詳細記事

運改で適切な改善措置を 副委員長(南西地区協議会議長) 松原 伸一
2023/01/05

 なかまのみなさん、新年おめでとうございます。
 ご家族のみなさんには、日頃より組合員のみなさんが明け番・休日などに取り組まれている自交総連の組合活動に対してご理解・ご協力をいただき、深く感謝申し上げます。
 さて、2023年もタクシー業界は大きく動きそうです。まずは、運賃改定がみなさんの大きな関心事になるのではないでしょうか。タクシー乗務員の賃金は、大部分が歩合制であり、昨年から続く極端な物価高騰、またコロナ感染拡大による不安定な営業収入など、実質的な賃金は大きく下降している状況にあります。
「モノの値段が上がっているときにタクシー運賃まで値上げ?」と眉をひそめる消費者心理も理解できない訳ではありませんが、私たち乗務員も一消費者であり、生活がかかっています。

確実な賃上げを

 歩合制賃金の下での賃上げは、賃率や手当などの改善を獲得する方法のほか、運賃改定が実施されると増収が期待できるため、運改そのものが直接的な賃上げの手段となります。国土交通省は新運賃公示にあたっての留意事項の中で「運賃改定実施後において、各事業者において、適切に運転者の労働条件の改善措置を講ずること」と明記しています。
 経営側は運改に乗じて会社側の取り分を増やそうと画策するわけですが、運改後に足切額を上げたり、歩率を下げるなどのスライド賃下げを許さず、自交総連が一貫して主張しいる「ノースライド」を勝ち取ってこそ、確実な賃上げにつながります。

遠割是正の動き

 運賃改定を実現するには、営業区域内の車両数で7割を超える要請が必要です。12月中旬に大手事業者が追随したことで50%弱になり、遠距離割引も5・5から9・1に変更する動きが出ています。まだ要請段階なので動向を注視する必要があります。また、運改により需要を上回るタクシーが市中にあふれることになれば増収にはなりません。このようなことにならないよう、労働組合が先手を打って事業者側に減車などの対策をとるよう働きかけなければなりません。
 もうひとつは、タクシーやバスの働き方に制限を加える「改善基準告示」が1年3ヶ月後の24年4月1日に改定される見通しとなったことです。自交総連はこれまで、バス・タクシーとも日勤者の休息期間(1日の勤務間インターバル)を11時間にするよう要求していましたが、最終的には9時間に後退、11時間以上が努力義務となりました。仮に通勤時間往復1時間、食事・入浴など生活時間3時間とすれば、休息期間11時間あっても睡眠時間は7時間、休息期間9時間であれば5時間しか眠れないことになり、これが連続することになれば到底安心・安全など担保できるはずがありません。

世界ワースト2位

 OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間49分で世界ワースト2位だそうです。バス・タクシー乗務員がそれを下回る睡眠時間でいいわけがありません。またタクシーの日勤者の月間上限拘束時間は299時間から288時間に短縮、隔日勤務者の休息期間はこれまでの21時間から22時間に改悪、ただし『2回の隔日勤務を平均し隔日勤務1回あたり21時間を超えないもの』と、少々複雑な但し書きがあります。ただ、月間上限は262時間のままです。
 労働条件や労働環境の改善を求めていくのが労働組合の役割のひとつですが、一方で、「もっと長時間働いて生活を良くしたい」と考える人がいるのも事実です。明確な統計資料は持ちあわせていませんが、長時間労働に起因すると思われる長期療養を要する疾患や在職死亡などの事例が少なくありません。命を賭してまで仕事をする必要はありません。
 自交総連のすべての運動は、合理的な論理に裏打ちされていると思っています。大阪地連副執行委員長に就任したばかりで、まだまだ未熟ではありますが、できる限り早く新しい情報を収集して学習を深め、重責に押しつぶされないよう、後退から前進へ、停滞から攻勢へ精いっぱいがんばる決意を申し上げます。