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労働者の流出依然続く
2023/02/06

コロナ禍3年で2164人減少する一方、75歳以上は298人増


 大阪タクシーセンターの統計によると、管内の22年1月30日現在の運転者証交付数は18463人(内個人=事業者乗務証・2417者)。新型コロナが騒がれ始めた20年1月末日比では、2164人減少しており、その内75歳以上だけ298人増加しましたが、全世代で減少傾向に歯止めがかからず、このまま推移するとタクシー産業が立ち行かない状況に陥るのは明らかです。


 現役ドライバーの人数を示す運転者証交付総数を見ると、昨年同月比で960人減少し、一昨年からすると若干鈍化傾向が見て取れます。
 「65歳以上70歳未満」の前年同月比を見ると、333人減、「70歳以上75歳未満」は635人の減で、「75歳以上」だけが178人増加しています。いわゆる現役世代(「65歳未満」)と年金世代(「65歳以上75歳未満」)も75歳を境に減少に転じています。
 全体に占める現役世代の割合は51・9%(20年49・6%、21年50・2%)と、若干ですが改善傾向が見て取れます。新型コロナの影響もまる3年に及び、当初大幅にタクシー業界から退出した労働者の急増が少し落ち着いてきた感があります。

労働相談に変化
賃金保障→負担問題


 この3年で、大阪地連に寄せられた労働相談の中身を総括すると、コロナ当初は「最低賃金を支払ってくれない」「基礎疾患がありコロナが怖いのに休ませて貰えない」「雇用調整助成金の活用やコロナ対策休業支援金に会社が協力しない」などでしたが、直近ではクレジットなどの各種手数料や事故罰科金の運転者負担問題に変わってきています。
 ここにきて気がかりは、各事業者の「乗務員不足」発言と「増車意欲」です。
 大阪タクシー協会報1月号を見ると大阪市域普通車の実働1日1車当りの日車営収は、3万6137円(22年11月)でした。年間を通して営業収入が一番上昇する12月の速報値は3万9817円。国民の行動変容と年末需要が増加する中、実働率が下がっているため急増しましたが、事業者が主張する労働者を増やせば一人ひとりの日車営収は直ぐに下がります。
 はっきりいえるのは次代を担う若い労働者の不足であって、総需要を鑑みながら適正な供給のバランスを保ち、タクシー労働者も普通に暮らせる賃金に上げる政策を継続し、労働者の流入を促進すべきです。
 若い労働者が入ってこない労働環境を続けていくと、早晩地域公共交通としてのタクシーの機能が奪われることは確実で、白タク・ライドシェアを呼び込むことに繋がります。事業者の増車意欲の自制を求めなければなりません。