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2013年01月の記事
自交総連本部・第35回中央委員会〈討論〉 大阪地連からの発言(バス)
2013/01/25
骨抜きの夜行ツーマン化
高速路線バスも規制緩和
バス部会・伊藤文男会長
(アクロス観光バス労組委員長)
昨年4月に起きた関越道のバス事故は世間を震撼させました。事故後に一部夜間走行距離について400キロ以上はツーマン化されましたが、これで長時間・過労運転が改善されたのかというとそうではありません。「特別な安全措置をした場合」には500キロまでワンマンが可能であるうえに、回送距離を含まない実車距離なので、実際には600キロ以上のワンマン運行が可能です。これは旅行業界の主張が反映された結果です。ちなみに私の職場では、200〜300キロであっても夜間運行はツーマンです。会社は「お客様からの信頼は裏切れない。人間は夜になると眠たくなる。ツーマンは当たり前」と言っています。
運賃ダンピングの問題も改善には至っていません。ツアーバスは低運賃で業績を伸ばしてきましたが、バス運行会社に発注する旅行会社の立場の強さが不当な運賃低下圧力となり、運転者の過重労働を招くことが問題でした。国交省は昨年7月31日から高速バスの安全確保のためとして「新高速バス」制度を始め、従来の高速路線バスとツアーバスを「新高速バス」に一本化しましたが、これは高速路線バスの運賃体系を規制緩和するようなものです。
貸切バスの運賃は30年前の水準以下にあります。貸切タクシーを1日利用すると5万円ぐらいと聞いていますが、バスはそれ以下で走ることもよくあるんです。昨年は近運局、バス協会への要請に加えて教育委員会にも訪問し、各学校がバスを利用する際の適正価格、運賃の指導申し入れを行いました。先生からの強引な値引きに歯止めをかけるためです。教委側からは「国交省からの通達を徹底させるよう指導する」との回答をもらいましたが現状は変わっていません。
昨年、バス部会はツアーバス運転者の労働実態告発本を上梓しました。全国のバス乗務員に読んでいただき、組織拡大につなげたいと思います。
総務省勧告後の動向と国交省の対応
2013/01/07
「あずみ野バス」事故のあと「総務省行政評価局」は、「国土交通省」に対して貸し切りバスの「一日の乗務距離の基準を見直せ」―との勧告を行いました。しかし、国交省はメンツもあったのだろうか、これを事実上無視してきました。7人死亡を含む46人の重軽傷者を出した関越道事故(=右下写真)は、勧告を1年半も放置している間に起きた事故でした。マスメディアから厳しい指摘を受けたのは当然といえます。
ところで総務省の「評価局」は、「勧告は出しっぱなしできたのか」と、電話したところ、2回のフォローアップをしてきたとの返事。早速、ホームページを開いてみました。
バス部会も当時協力しましたがさすがと言うのか、「勧告」にあたって詳細な調査をおこなってきた当局だから放置することはなく、安全にむけ、きめの細かい指摘をしています。
「行政評価局」が指摘した項目のあらましは、以下の通りです。
(1)行政処分の実効性の確保及び法令違反行為の抑止力の強化。
(2)交替運転手の配置指針の見直し。
(3)高速ツアーバスの法令順守の徹底。
(4)旅行業者への指導監督の強化。
(5)収受運賃の適正化。
(6)監査の効率的・効果的な実施―などについてでした。
一番懸念される
貸切バス夜間運行
これらについて国交省は、それぞれ「改善、または改善にむけて努力をしている」―との回答をしています。実際に、バス事業者や旅行業者への違反防止のための抑止力の強化や、終業から始業までの休息期間の延長(従来9時間→11時間へ)など、評価できる点もあります。
だが、問題はこれらの項目のなかで、安全上最も重要な「交替運転者の配置基準」については、1日の乗務距離の上限を670キロから400キロ(「高速バス事業者連絡会」の自主規制距離)にしている点です。
7月20日施行の「改正」運輸規則は、「特別な安全措置」(深夜500キロもの過酷な一人運行のためには当然すぎるほどの措置)を満たせば500キロまで一人運行が可能―というもので、500キロ走行を前提につくり上げたもの。見せかけの400キロだ、としか言いようがありません。
国交省は回答のなかで、「『高速ツアーバス等』以外のものについては、昨年末に方向性を示す」むね言っていました。昨年は「関越道事故」と「東北道事故」で一気に問題が表面化した貸切バス業界でしたが、安全運行について「一番懸念される」のは、貸切バスの夜間運行です。とりわけスキー運行は、予測のつかない事態が頻繁に起きるだけに、早急な対策が求められます。特に「適正な距離規制と深夜運行の二人運転義務付け」は、乗客の安全にとって欠くことのできない条件です。
昨年以上に組織拡大
2013/01/07
大阪地連バス部会 会長 伊藤 文男
昨年は東北大震災の影響を受け需要の低迷が慢性的に続き、営業収入低下が続いています。
さらに、関越道で7人もの死亡事故を起こした高速ツアーバス事故(陸援隊)は、業界に大きな影響を与えました。また、中国、韓国との領土問題がインバウンドの需要に影響し、一般貸切バスの需要は半減しました。
バス部会は、貸切バス事業の規制強化に向けた働きかけを継続的に行っています。タクシーは先を行っていますがバスの運動は遅れています。1日の運行距離、拘束時間、夜行運行規制など問題は山積していますが、今年も果敢に行政への働きかけを強化していかなければなりません。
部会のなかまの争議は、中央交通、類グループと昨年和解に至りましたが、問題がなくなった訳ではありません。類グループでは当該の委員長を一方的に自宅待機処分とする新たな攻撃が仕掛けられ、今後跳ね返す運動を強め解決を探らなければなりません。
また組織拡大にも目を向けなければなりません。昨年バスターミナルやSAで働きかけを行いましたが、疲弊しすぎてか反応はいまいちでしたが、今年も拡大に向けた行動を昨年以上に取り組みたいと思います。
バス部会の活動は各単組の協力なしでは進みません。タクシーのなかまとともに13年度も団結しバス部会を盛り上げていきます。