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2012年11月の記事

交運研「バス問題検討会」
2012/11/15

事故撲滅めざし規制強化が必要


 交通関係の労働組合・団体と学者・研究者が共同で「国民のための交通政策を目指す」目的で1990年に結成した「交通運輸政策研究会」(略称=交運研、会長=安藤陽・埼玉大学教授)が、4月に発生した「関越道高速ツアーバス事故」をふまえ、調査・研究活動を実施するとともに、政策提起するための第1回検討会が10月31日・11月1日の2日間大阪で行われました。
 1日目の「研究会」で、貸切バス運転者の労働条件について報告した大阪地連・松下書記次長は「現行の改善基準(運転者の労働時間についての厚労省告示)は過労死認定基準を上回っている。休息期間を増やすなど改定した上で法制化が必要」と指摘。さらに「夜行完全ツーマン化、ワンマン乗務距離規制の強化を行うとともに、過重な行程を組む旅行業者への罰則を設けるべき」「安全面で不適切なバス事業者を参入させない入口規制を行わない限り、再び重大事故が起こる」と訴えました。

自交総連本部第35回定期大会・討論−大阪からの発言《バス部会の運動》
2012/11/06

自交総連本部第35回定期大会・討論−大阪からの発言《バス部会の運動》

大事故反省せず規制骨抜き
全国的な力で行政動かそう


山本雅弘中央委員
大阪地連常任執行委員
同バス部会事務局長


 私たちは再三にわたり国交省に対して、生理学的な観点から夜行運転の2マン化を求めてきました。そして総務省も国交省への勧告で「貸切バス事業における安全確保対策の徹底」を求めていました。しかし国交省が設置した「バス事業のあり方検討会」では高速路線バスの規制緩和が議論され、距離規制670キロの是正や2マン化などは議論されませんでした。私たちは4月17日に取り組んだ近畿運輸局への要請行動で「このままでは必ず大きい事故が起こる」と警告しました。同29日には私たちの指摘どおり関越道の事故が起こりました。総務省の勧告どおりに改正されていれば今回の事故は防げたと思います。
 今回の事故も「あずみ野観光」事故と類似しています。夜行ワンマン運転で明け方の事故、規制緩和で参入してきた新免会社、運賃が旅行会社に買い叩かれ、旅行会社とバス会社の間にブローカーが介在して中抜きされている、運転者の経験が浅いなどの点です。
 事故後の報道では、旅行会社への責任追及がされていません。中抜きの2社については社名すら報道されませんでした。安売りサイトの楽天トラベル、ハーヴェスト社は責任逃れ、遺族に対して不誠実な態度です。被害者が多かった石川・富山の地元紙は全国紙と違って旅行会社の責任を追及する論調で、被害者への無責任な対応を批判していました。
 6月に本部、交運共闘と共に改善基準告示を見直すよう厚労省と国交省に申し入れましたが、後に出された「交替運転者の配置指針」では、回送を含まない実車距離が400キロ以上、ただし特別な安全措置がとられていれば500キロまで夜行ワンマン運転が可能というという骨抜きがされています。この数字に生理学的な根拠はなく、旅行業界やツアーバス会社の都合のいいように出されたものです。
 さらなる規制緩和を止めるためにも自交総連の全国的な力で行政に働きかけていくべきだと思います。