HOME  <  バストピックス

バストピックス

更新情報・ニュース

過去のバストピックスのトップへ

月別バックナンバー

2013年10月の記事

自交総連本部・第36回定期大会 大阪からの発言<バス>
2013/10/25

残業なしでは生活できぬバス運転者
長時間労働・不規則勤務が事故招く


服部一弘中央委員
(中央交通労組副委員長・バス部会会長)

事故の背景に違法体質


 1985年1月、日本福祉大学の学生ら46人を乗せた観光バスが長野県犀川に転落し25人の命が奪われました。運転者は2週間連続勤務しており、事故は過労運転が原因とされました。当時からバス部会はこの事故を教訓とし、過労運転による大事故を二度と起こさない、起こさせないために、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(厚生労働省告示。以下、改善基準)違反や、公示運賃の下限割れなどを告発し改善を求めてきました。
 しかし不幸なことに07年に吹田市で「あずみ野観光」の事故が起こり、昨年には関越道で「陸援隊」の事故が起こりました。いずれも法令違反がまん延する職場の中で、長時間・長距離運行、さらに深夜の一人運行という過酷な勤務の中で発生しました。高速ツアーバスの法令違反は事業者の81%に達しており、大事故はこのような業界的な違法体質が生み出したと言わざるをえません。
 いま、バス労働者の労働時間は全産業労働者に比べて年間550時間も長く、過労死率は他産業に比べ4〜6倍になっています。バス労働者の長時間・過重労働の原因は、事業者が基本給を最低賃金なみに低く抑えている点にあります。労働者は年収が20年前と比べて半分以下にまで下がっており、「残業なしでは生活できない」という状況下で時間外労働に駆りたてられています。
 今年7月、運転者の急性心疾患発症によるバス事故が連続して起こりました。いずれも高速道を走行中であり、大惨事になるところでした。各運転者の疾患による死亡が確認されています。先月にはバス部会のなかまであるUさんも中央道を乗務中にくも膜下出血により意識を失い、同乗者が停車させて事故は起こりませんでしたがUさんは2日後に亡くなりました。私たちは長年の長時間労働、不規則勤務が原因になったと考えています。

見せかけの規制強化

 運転者と利用者の安全を守るための「改善基準」ですが、その内容は厚生労働省の過労死認定基準を超える115時間もの時間外労働を可能にするものです。これをもとに国交省がワンマン乗務規制の距離や運転時間を算出しているため、問題が放置されたままになっています。
 事故を受けて新たな「交替運転者の配置基準」が策定され、夜行乗務については「実車距離400キロ」「乗務時間が10時間を超える場合」に交替運転者が必要となり規制強化したように見えますが、実際には回送距離を含まないため大阪から横浜や高知などへの夜行が改正前と同じくワンマン運行可能です。しかも「特別な安全措置を実施した場合は実車500キロまで可能」となっているため長距離運行は是正されることなく、逆にお墨付きを与える結果になっています。
 こうした矛盾に加えて、「改善基準」が法律ではなく告示であることによる強制力の弱さによって、長時間労働と法違反が長年継続されてきたのです。
 大阪地連バス部会は夜行ワンマンの禁止、「改善基準」の改正・法制化に向け運動を強めていきます。そのためにも全国のなかまの連帯が必要であり、各地連・地本にもバス部会を立ち上げていただきたいと思います。私たちも組織拡大を重視してがんばります。