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2013年09月の記事

バス部会・13年度総括
2013/09/17

バス部会・13年度総括 あいさつするバス部会・服部会長(8月28日、自交会館で)

改善基準の改正・法制化必ず


 バス部会は8月28日、「2013年総括学習会」を自交会館で開催しました。
 13年度総括を提案した山本事務局長は、「8月1日に施行されたワンマン走行距離規制は夜行では“実車距離400キロまで”としているが特別な措置(途中1時間以上の休憩など)を行えば500キロまで、回送距離を加えれば600キロ超えも可能になる。これでは、長距離運行にお墨付きを与えるようなもの」と指摘。7月に運転者の急性心疾患発症による事故が相次いだ問題について「長時間労働による過労蓄積の検証が必要だ。過労死認定基準を上回る時間外労働を容認している改善基準告示の改正、法制化を求める運動を強めなければならない」と訴えました。

組織拡大がんばろう

 学習会では、きづがわ共同法律事務所の坂田宗彦弁護士が「安倍政権と憲法改正」と題して講義を行い、自民党の「憲法改正草案」が現憲法の三原則(国民主権・平和主義・基本的人権の尊重)を否定する危険な内容であることを紹介。
 また、原水爆禁止世界大会の参加報告を行なった中央交通労組・押谷委員長は「戦後68年になるが、日本からすべての米軍基地がなくならない限り本当の終戦を迎えたことにはならないと思う」と佐世保基地調査行動の感想を述べました。
 バス部会は新役員として会長に服部一弘氏(中央交通労組)を、事務局長に山本雅弘氏(大阪はとバス労組、再)を選出。服部会長は「組織拡大と安心して働ける労働環境の確立に向けて頑張る」と決意を述べました。

オピニオン OBの視点−まやかしの規制強化 追及しないメディア
2013/09/05

まやかしの規制強化 追及しないメディア


元・大阪地連バス部会事務局長 尾崎博明(2)

 「高速乗合バス」と「一般貸切バス」の新制度が8月1日から実施されました。
 6年前の「あずみ野観光」スキーバス事故、一昨年の関越道での高速ツアーバス事故の再発防止策として検討されてきた新基準です。しかし、多くの死傷者と被害を教訓としたはずの新制度(夜間長距離運行時の『交替運転者等の配置基準』)の内容は、明らかに「安全・安心が後退したもの」に。ところが一部新聞報道では「安心な新制度」として取り上げていて放置できません。
 新制度についての報道では、「規制の厳格化」「野放図な規制緩和状態が改善される」「乗務距離の短縮」、さらに「ワンマン運行の上限は夜間400キロ、昼間500キロに規制される。関越道事故前までの上限は670キロだった」として、バス輸送の安全が大きく進んでいるとの印象をあたえています。
 これは「あずみの観光」バス事故当時の、業界の平均的距離を大幅に延長した「国交省の指針」(2008年6月=670キロ)との比較であり、当時の労使慣行や慣習、総務省・行政評価局の勧告(走行距離が運転者の健康にあたえる影響)等を無視したもので、納得がいきません。

姑息なやり方で規制骨抜き

 このように、メデイアでさえ公表された数字のみで「安全」として取り扱っているのですから、これを読んだ読者は、「多くの事故と犠牲のなかから改善がはかられて安心」と、行政の対応・新制度に安堵しているのではないでしょうか。
 では、1日から実施された「高速乗合バス」の安全度の実際はどうなのか、問題が三つあります。まず新基準は、ワンマン運行距離の上限は昼間500キロ、夜間は400キロとしていますが、それは実車距離だけで、回送距離は別である点。
 二つめは、昼間は600キロ、夜間は500キロに延長できる条件は、普通の業務のなかで行われている程度のもので、100キロも延長することの条件と言えるものではなく、「まやかし的」との批判はまぬがれません。
 三つめは、高速乗合の夜間500キロ規制は、「路線毎個別審査」によって週2回まで500キロ超えを認めています。
 このように高速乗合の新規制は、始めに大きく距離延長(国交省指針で670キロ)をし、新基準は小さく(夜400キロ・昼500キロ)し、条件をクリアすることで距離を延長、さらに条件をつけ時間も距離も無制限状態にまで延ばしています。まさに「姑息なやりかた」と言われても仕方のないものです。

労働者全体で問題共有を

 最後に、今回の高速乗合バスの新制度報道について。メデイア側は乗務距離が引き延ばされた経緯など、おかまいなしです。とりあえず以前の距離にくらべてどうかを明らかにすればいいという姿勢です。問題は、メデイアにすべてお任せでは現実や真相がどうなっているかが明らかにならないこと、安全を守れないことがハッキリしたということではないでしょうか。乗客とみずからの命を守るのは、最終的には現場でハンドルを握る運転者です。その意味でも「新制度がどんなものか」を大いに宣伝し、働く仲間全体で共有することが重要になっています。
 その意味で一番急がれるのは闘う仲間のひろがり、そのための基礎固めをすること。いま一番もとめられている課題ではないでしょうか。「安全なバスの旅へ」たたかう自交バス部会への期待はひろがっています。

(8月8日寄稿)

改善基準告示の改正・法制化 バス部会が大阪労働局に要請
2013/09/05

改善基準告示の改正・法制化 バス部会が大阪労働局に要請 交渉に臨む大阪地連・バス部会要請団

過労運転の抜本的防止策を


 大阪地連(秋山民夫委員長代行)および同バス部会は(服部一弘会長代行)8月28日、大阪労働局(中沖剛局長)への要請行動に取り組み、7月にバス運転者の急性心疾患発症による死亡事故が相次いだことを念頭に、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(=厚労省告示。以下、改善基準)を一刻も早く改正、法制化するよう要請しました。

 組合側は大阪地連・秋山委員長代行ら12人が参加、局側は労働基準部監督課の三浦主任監察監督官ら3人が応対しました。
 旅客運送業の過労死対策について局側は、「長時間労働が疑われる事業者への監督指導」「労働時間改善指導員による事業場への個別訪問」などを行い、「合同監督監査、相互通報制など運輸局との連携強化」「『交替運転者の配置基準』の周知徹底」を図っている、と回答。
 監督官の増員については「公務員の定員削減が実施されていて現状では改善が難しい。我々としては人員増を望んでいる」「今年の監督官採用は全国で50人に届かず人手が足りない」と苦渋をにじませました。
 組合側は「改善基準が定められて25年になるが、その間に高速道路が整備され、昔は1泊だった行程が日帰りで組まれるようになった」「国交省は改善基準をもとに『交替運転者の配置基準』をつくった、だから回送距離を含まず実質無制限になってしまった」「旅客運送業の過労死件数が他産業の4.8倍にものぼるのは改善基準そのものに問題があるからだ。事故が起きてからの後追い対策で監督指導しても、このままではいつまでたっても同じことが繰り返される」「昨年、関越道事故を起こした運転者の労働時間は改善基準の許容範囲内だった。大事故が起きても長時間労働はなくなっていない。運転中の過労死は利用者や周りの車、人も巻き込み影響が大きい。危険な状態が継続していることを認識してほしい」などと訴え、改善基準の一刻も早い改正・法制化を求めました。
 局側は「要請は(連合系、全労連系の)どちらからも受けている。本省に趣旨を含めて必ず上申する」と応じました。