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2008年03月の記事

国交省・安全性置き去りの指針(案)作成
2008/03/25

国交省・安全性置き去りの指針(案)作成 交渉するバス部会とバス連絡会のなかま(12日)

旅行業界の“圧力”に屈するワンマン距離規制670キロ


近畿運輸局に要請、過労まん延正確に上申を

 大阪地連(権田正良委員長)・同地連バス部会(伊藤文男会長)と観光バス労働組合連絡会(東浦貞次会長)は12日、近畿運輸局(各務正人局長)と交渉を行ない、安心・安全の観光バス輸送を確立するための措置を要請しました。


バス部会、局に抗議

あずみ野観光事故 教訓になってない


 今回提出した要請書では過重労働を防ぐために「1日の最高走行距離は500キロ以内」「休息期間は11時間以上」「夜間運行は運転手2人制」とする規制を求めるとともに、「(事業者の)労働基準法や改善基準告示違反等の一掃に努めること」「(法違反を事業者に強いる)旅行業者を監督・指導すること」などを求めています。

 局側は要請に対し、「本省のほうに意見として上申する予定にしている」と回答したうえで、過重労働を防ぐための規制については「待遇改善という趣旨が大きいのかなと思っている」と発言し、利用者の安全を守る立場で運動を続けてきた組合側との意識のズレを露呈しました。

 交渉では、2月に国交省自交局安全政策課がまとめた「乗務距離による交替運転者の配置の指針(案)」に組合側の非難が集中。「指針(案)」では乗務距離の上限を運転手1人につき670キロとしています。

 バス部会の松下事務局長は、670キロの根拠が現行の法定最大運転時間(9時間)から逆算されたものであることを踏まえ、「現状では改善基準告示を守っても135時間以上の時間外労働が可能で、これは厚労省の過労死認定基準(100時間)以上だ。そこから逆算した数字など論外だ」と指摘。組合側からは続けて「国が長距離ワンマン運転にお墨付きを与えるようなものだ」「まるで旅行業者のための数字だ。圧力をかけられたのか」「あずみ野観光バス事故が教訓になっていない」と怒りの声があがりました。

 権田委員長は日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本バス協会の3者が2月に設置を合意した「ワーキンググループ」について「悲惨な事故を繰り返さないためにも、現場からの声として労働組合を加えた議論が必要だ」と主張しました。

第5回バス部会 怒りの声続出
2008/03/05

第5回バス部会 怒りの声続出 山積する問題を議論するバス部会 国交省、なぜ安全性を最優先にしない

再考せよ1日の走行距離規制


 バス部会(伊藤会長)は2月27日午後、自交会館で第5回バス部会を開催し08春闘の統一要求書や各単組の課題について話し合い、同要求書を確認しました。

 中央交通労組は「湯快リゾート(1泊7500円往復バス代3千円、勝浦・白浜・山中・山代・あわず・下呂など計10件)のシャトルバスを走っていますが、下呂は往復600キロ以上あり、休憩も実質30分程度しか取れません。安全運行を心がけていますが行程が厳しすぎます。旅行業者はあずみ野観光バス事故の教訓を活かしていない」と指摘しました。

 アクロス労組は「会社が日給8千円のアルバイト運転手を募集している」とし、人件費削減をさらに進めようとしている実態を報告しました。

 会議の中で「1日の走行距離規制が決まった」との噂が業界で流れていることから、松下事務局長が国土交通省に電話したところ、「1日670キロ(一般道は2/1で算出)で罰則のない努力目標としてほぼ決定している、距離の算出方法は過去のデーターから」との回答でした。この距離は高速道路約550キロ、一般道約60キロ(高速道路120キロ相当)で大阪、東京ディズニー間を運行できる距離です。

 既存会社では1日の最高距離を500キロに設定している所が多く、国交省が670キロとした場合、エージェント(旅行会社)は今まで以上に、低価格のワンマン運行、実走600キロ以上を強要してくることは明らかです。

 昨年あずみ野観光バスは、長野大阪間約500キロを走り続けて事故を起しました。国交省はこれを教訓とせず、100キロ以上も長い670キロワンマン運行を容認しようとしています。

 バス部会は国交省に対して強く抗議するために、近畿運輸局と3月12日に交渉を行います。