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2007年05月の記事

バス部会&連絡会近畿運輸局交渉
2007/05/25

バス部会&連絡会近畿運輸局交渉 申入書を手渡す権田委員長(右) 法律で夜行運転を2マンに

グレーゾーン規制せよ


 16日、大阪地連バス部会(松尾憲司会長)
と、観光バス労働組合連絡会(藤岡尚一会長)は近畿運輸局(島崎有平局長)に対して、利用者への情報公開(バス会社との契約内容など)を旅行業者に義務づけるよう求めたほか、安全確保を念頭においた規制強化・法整備(夜行のワンマン運転禁止など)を訴えました。同局からは松川旅客第一課長ほか7人が応対しました。


現状の道運法は不十分
 局側は前回交渉(3月9日)以後の取り組みとして、3月13日にツアーバス実態調査(乗務員から聞き取り)を実施、その結果をもとに4月を「貸切バスの監査強化月間」と位置づけて集中的に30社を監査した結果、ツアーを実施していたのは20社で、改善基準告示違反が14件、運行指示書不備が9件あったことを明らかにしました。

 さらに国土交通省が「営業区域に関する考え方の明確化(発地・着地の判断を実質的に旅客が乗車している区間で捉える)」「運送契約の実態把握」などに取り組む、とした通達を4月27日付けで発出し、「着地における睡眠施設の確保」および「ツアーバス引受実績の報告」の義務化について省令改正を行なう見通しであることを明らかにしました。

 しかし、利用者への情報公開や規制強化・法整備については、「制度改正が必要」「(運輸局では)決められないので(本省に)上申したい」と述べるにとどまりました。

 組合側は、夜行の運転手2人制について「2台のバスを3人で運行するなどのグレーゾーンをなくしてワンマンを完全に禁止しないと、あずみ野観光のような事故がまた起る」と指摘。

 また、「(休息期間について)現状の8時間では通勤や洗車時間を考慮すると実質的に5時間程度しか休めない11時間は必要」「運行中の休憩時間中も車から離れられず、エージェントに休憩時間を保障するよう要求できる乗務員はいない」と実態を述べたうえで、「私たちは“今のままでは重大な事故が起きる”と言い続けてきた。安心・安全を考えると、現状の法律では不十分なので早急に改善してほしい」と強く訴えました。

指導強化で安全なバス輸送を
2007/05/15

旅行業者の横暴を厚生労働省に指摘


 5月8日午後、自交総連本部は厚生労働省に赴き、2月8日に発生した「あずみ野観光バス」事故に関わって大阪地連バス部会が緊急的(3月6日)に申し入れていた4項目の要求事項について交渉しました。

過当競争で軽視される安全輸送

 この交渉には権田副委員長(大阪)、小林・菊池両書記次長が参加。厚生労働省からは労働基準局監督課・監察係の川辺博之事務官ほか2人が応対しました。

 権田副委員長は今回の事故の背景に、規制緩和による過当競争で労働基準法違反や「改善基準告示」([注@]参照)違反が横行し、業界風土が安全輸送を軽視するように変貌した。一方で安全輸送をかえりみることなく公示運賃違反の低運賃をバス会社に押しつける旅行業者の存在([注A]参照)があると指摘し、安心・安全のバス輸送確立のためには法違反の一掃と監督・指導の強化が緊急的に求められる、と訴えました。

 しかし厚生労働省は、関係法令遵守の徹底を図っていくと答えたものの、全体的な業界実態の把握が希薄なうえ、不誠実な態度に終始しました。

「申し入れ事項」

 1、すべてのバス事業者に対して、法令遵守にむけた「通達・告示」などの文書による指導を行うこと.また、すべてのバス事業者への監査を早急に実施すること。

 2、国土交通省総合政策局旅行振興課が平成18年6月30日付けで全国の旅行業者に対して発した、「『ツアーバス』に係わる募集型企画旅行の適正化について」・「通達」(国総旅振第101号)の主旨の徹底を図るよう国土交通省・近畿運輸局に申し入れること。
 3、連続運転時間を2時間以内とし1回につき15分以上の休憩を確保すること。また休息
 期間は現行8時間を11時間に、2人乗務の場合は現行4時間を7時間にそれぞれ延長するよう「改善基準告示」を改正すること。

 4、国土交通省との「相互通報制度」を活用し連携して労働基準法や改善告示違反等の一掃に努めること――を求めました。

 [注]
@「改善基準告示」
 自動車運転者の労働の実態にかんがみ、拘束時間、労働時間、休憩時間、休息期間などを定めた厚生労働省令。

Aバス会社は、適切な事業運営を行うために必要な運賃・料金の上限・下限額を定めて、国土交通省に「届出」しています。旅行業者との契約の際はこの公示運賃にもとづき、上限・下限の範囲内で受注することが義務づけられています。

 しかし、実態は旅行業者の圧力によって下限運賃を大きく下回る運賃設定になっています。