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2015年01月の記事

オピニオン OBの視点−幅広い共同でバスの安全確保を
2015/01/26

幅広い共同でバスの安全確保を


元・大阪地連バス部会事務局長 尾崎博明

 私が定年を迎えたその日に阪神淡路大震災が起こった、あれから20年―。毎年スキーシーズンになると、寝ざめとともにテレビのスイッチを入れてバス事故のないことを確かめ、一日が始まる。だがこうした習慣も昨年からは、ちょっと違った目で見ている。それは昨年8月に施行された「交替運転者の配置基準」がバス市場で厳格に遵守されるのか、という心配があるからだ。
 「配置基準」が認める「一日の最高乗務距離」は、一定のゆるい「安全対策」をクリアすれば、昼間=600キロプラス空車・回送距離、夜間=500キロプラス空車・回送距離となっており、例えば大阪→長野県への深夜スキーバスでもワンマンが可能になる。業界は昨年、重大事故が続発したこともあり夜行ワンマン運行を自粛してきたが、今年はどうなるのか心配なところだ。
 それは「走行距離の延長」や、とりわけ「夜行ワンマン」は、企業側にとってコストを削るうえで最も有効な部分であり、競合する他の交通機関との差別化を図っていくうえで最も重要な部分で、そちらに流れやすいからだ。

現場の意見くまず「670キロ」

 業界からすれば「配置基準」とは、国交省から「夜間長距離ワンマン運行」のお墨付きを授かったようなものだ。にも関わらずそれを自粛しているのは、国交省の安全軽視に対する不安の表れともいえる。
 国交省は07年2月の「あずみ野観光バス事故」を受けて、運転者1人・1日の最大運転距離の基準を「670キロ」とした。昨年の「配置基準」もそれを踏まえたものだ。しかし総務省が09年に貸切バス運転者を対象に行なったアンケートで「安全運行できる乗務距離」を訊ねたところ、高速道と一般道の両方を走る場合、昼間が平均「531キロ」、夜間が平均「439キロ」と大幅に下回る結果だった。
 総務省は10年9月、国交省に対して「運転者の健康面を考えておらず、運転者や有識者らの意見もくんでいない」と指摘し、距離の短縮を含めた措置をとるよう求める趣旨の「勧告」をしたが、改善されていない。

宣伝行動を継続・強化しよう

 自交総連・バス部会はこれまで、「1日の走行距離500キロ規制と夜間ツーマン運行の法制化」を中心に、安全確保のたたかいを進めてきた。業界のワンマン運行自粛の動きは、こうした「要求とたたかいの正当性」を裏付けし、私たちに確信を与えるものだ。
 事故が起きてからでは遅い。業界がワンマン運行を自粛しているいまこそ「適正な乗務距離・夜間二人乗務の法制化」をめざす強い取り組みが求められる。水際での対策とたたかいこそが事故を防ぎ、運転者と乗客の生命を守ると確信している。また、それは同時にバス業界の公正競争を確保するためのたたかいでもあり、個々の組織や会社のレベルでの取組みでは解決できない。組織の違いをこえた幅広いなかまとの「共同」が不可欠だ。
 バス部会が毎月取り組んでいる街頭宣伝を今後も継続し、市民・乗客に向けては「夜間の長距離ワンマン運行の危険性」や「『改善基準』『配置基準』の不当性」、「安全・安心をめざす要求とたたかいの妥当性」を、働くなかまには「団結と連帯の重要性」を拡げに拡げていくことが重要だ。また、全体の底上げを図るための討論と学習、その体制づくりが今後の課題ではないだろうか。
 厳しい情勢下ではあるが、安全なバスをめざしてたたかうバス部会への期待はますます大きくなっている。がんばってほしい。

《バス部会》2015年も毎月宣伝
2015/01/05

《バス部会》2015年も毎月宣伝 バス部会は毎月定例の宣伝行動を継続(写真は9月30日)

安全破壊する運賃競争
新公示運賃を遵守せよ


 バス部会は12月5日、新大阪駅で貸切バス乗務員に向けての宣伝行動を行いました。この行動は毎月1回、継続して取り組んでいるもので、各職場の労働実態や、昨年4月に改正された新公示運賃(=運転者の急性疾患による事故が相次いだことから労働条件改善を目的に改正)の適用状況などを聞き取り、運動に活かしています。
 今回も乗務員からは「会社が大手旅行業者に19%のバックマージンを支払うと言っていた」とか、「大手旅行業者がバックマージンの上乗せを要求している」などバス事業者と大手旅行業者の力関係を示す証言があり、安全をないがしろにする不当な運賃競争が現在も続いている実態が明らかになりました。
 乗客の「安心・安全」を担保するには乗務員の健康と安心して働ける労働環境が必要ですが、バス乗務員は不規則勤務で平均労働時間が年間2500時間以上と過労が常態化しています。自交総連は過労死認定基準以下への労働時間短縮と、そのためのコストを担保する適正運賃を求めています。