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2014年12月の記事

JALの仲間とともに空の安全をとりもどす 12.2集会 発言(骨子)
2014/12/15

自交総連大阪地方連合会
書記次長 松下末宏


−規制緩和により利用者の「安心・安全」が崩壊したバス事業−


 今年3月3日に北陸自動車道・小矢部川サービスエリアで、高速路線バスが運転者の意識喪失により、駐車していたトラック2台に激突、死者2人・重軽傷者24人を出しました。路線バスでも同様の事故が多発しています。このような事故は規制緩和以降、2003年には18件であったのが、2012年は58件と3倍以上に増加しています。
 NHKは「バス運転者の体調急変による事故は、この4年間で210件、乗客・乗員の死傷者が196人(死亡22人・重軽傷者174人)」と報道しています。これには、居眠り運転により死者1人・重軽傷者26人を出した2007年の「あずみ野観光バス事故」、2012年に死者7人・重軽傷者39人を出した「関越道高速ツアーバス事故」は含まれていません。
 バス労働者は不規則勤務と年間2500時間以上の長時間労働による睡眠不足が常態化し、それが深刻な健康破壊の大きな要因となっています。
 2000年2月に貸切バスの規制緩和が行われ、あずみ野観光のような零細企業や、関越道事故を起こした陸援隊のように元々は無許可営業だった事業者が参入、運賃競争が激化して「安心・安全」は崩壊しました。
 統計では1998年→2010年で事業者数が2.12倍の4492社、車両数は1.27倍の46676両と増え、バスの稼働率は約60%→50%と10%も落ちこみ、運転者の年収は31%減の384万円まで下がりました。離職率は1年目で29%、4年目48%と、俗に言うブラック企業というよりは業界全体がブラック化しました。
 「安心・安全」を担保するには、そこで働く労働者が余裕をもって暮らせる労働環境と、豊富な経験の蓄積と伝承が不可欠です。俗に言う下積みが必要なのです。あずみ野観光事故の運転者は免許取りたての21才、関越道事故の運転者も免許を取得して2年目でした。規制緩和前では考えられないことでした。
 安全には目に見えない多くのコストが必要です。安いものには落とし穴があります。そして、企業を監視して暴走を許さない労働組合が不可欠です。JALの仲間を職場に戻し、空の安心・安全を共に取り戻しましょう。

人権としての「交通権」を!第10回市民集会
2014/12/05

人権としての「交通権」を!第10回市民集会 市営交通民営化阻止に向けた運動を交流

赤バス廃止・間引き運行
市民の足奪った橋下維新


 「必要なのはカジノやリニアの大型開発ではなく生活路線の充実」──「人権としての『交通権』を! 第10回市民集会」が11月9日に大阪市中央区で開催され、102人が参加。赤バス廃止や市バスの運行間引きで市民の足を奪った橋下維新市政を批判し、地下鉄・市バスの民営化阻止に向けて運動を交流しました。

 主催は「交通権の確立・大阪市営交通を守り発展させる会(市営交通の会)」「赤バスの存続を求める市民連絡会」「全日本年金者組合大阪府本部」。
 成瀬明彦さん(市営交通の会事務局次長)が基調報告を行い、「赤バス廃止を市民運動で2年間先延ばしさせたが橋下市政は2013年に廃止した。民営化の問題では5度にわたって継続審議に持ち込んで食い止めている(※1)」「“安心安全は公営でこそ”という私たちの運動で大阪市交通局は地震・津波対策を本格化させ、地下鉄30駅に止水扉を新たに設置するための予算を昨年秋に計上した」などと報告しました。

泉北住民の社会基盤
“ハゲタカ”に売却寸前


 福祉の町づくりに力を注いでいる三星昭宏さん(近畿大学名誉教授)が「市民がつくる交通まちづくり」と題して講演を行い、「日本では公共施設のバリアフリー化計画に、それを必要とする当事者が参加していない」「欧州では交通を“衣・食・住・労・学・遊・交流と同じ生活権”と位置づけている。日本は60年遅れている」と指摘するとともに、「地域住民にとって大切な社会基盤である泉北高速鉄道を外資のハゲタカファンドに売ろうとするなど理解できない」(※2)と維新を指弾しました。
 運動交流では、橋下市長の公約違反である敬老パス有料化、市バスの路線変更や減便で生活の足が奪われている実態や、短期間に多くの署名を集めた経験、切実な要求で共同が広がっていることなどが報告されました。

健康破壊が深刻化
バス労働者の実態報告


 自交総連大阪地連からは松下書記次長がバス労働者の低賃金、不規則勤務と年間2500時間以上の労働時間によって健康破壊が深刻化していることを報告。労働者の雇用条件の改善なくして安心・安全は得られないと強調しました。
 (※1)11月21日に市議会が民営化案を否決。
 (※2)6月6日に府議会が南海電鉄への売却を全会一致で可決。