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2020年02月の記事

バス運転者の健康状態に起因する事故急増 命守る労働時間規制を
2020/02/25

過労死ラインなみの残業を容認する「働き方改革」


 国土交通省がまとめている事業用自動車事故統計の2018年分が公表されました。全体の事故件数は前年より144件増の5449件。このうち乗務員に起因する事故では、乗合バスが前年比77件増の495件と突出して増えています。

 乗務員に起因する事故を1億走行キロ当たりでみると、バス、ハイタクは増え、トラックは減っています。バスが急上昇しているのが分かります。
 健康状態に起因する事故は、前年より65件増えて363件になりました。ハイタクは減っていますが、バス・トラックは増え、ここでもバスの急増が目立ちます。病名では、心臓疾患、脳血管疾患、大動脈瘤解離などが多く、全体の3割を占めています。
 バス運転者が過重労働を強いられているのは明白です。厚生労働省の告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準)はバスの場合、これを遵守しても「過労死ライン」を超過する場合があり、過労運転防止の実効性が疑問視されています。そしてこの改善基準さえ守られていないのが実態です。
 自民、公明、維新による強行採決で成立し、昨年4月から施行されている「働き方改革関連法」は、残業の上限を「月100時間未満」「2〜6か月平均で月80時間」とし、過労死ラインに匹敵する残業時間を容認する内容ですが、自動車運転業務は5年先送りされた上に2024年4月以降も「年960時間」とされ、一般労働者より長時間労働が継続します。
 自交総連は改善基準について実効性のある内容に改定し、罰則を設けるための法制化を行うよう行政に要請しています。
※=厚労省が定めた過労死認定基準。〈直前の1か月に100時間以上の残業〉〈直前の2〜6か月に平均80時間以上の残業〉