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2017年01月の記事

インバンも同等に
2017/01/17

大阪地連バス部会会長 服部一弘

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年1月15日、長野県軽井沢町の国道18号線・碓氷バイパスでスキーツアーバスが道路から転落、死者15人、重軽傷者26人を出す重大事故が発生しました。事故を起こしたバス会社は大型車経験の乏しい運転者を採用し、2〜3回の研修で大型バスに乗務させるなど、ずさんな対応でした。すべては規制緩和が原因です。規制緩和以前は大型経験3年以上、妻帯者が当たり前で会社も教育を徹底していました。運転者は経験が財産、会社は人が財産です。
 1985年1月28日、日本福祉大学の学生46人を乗せた観光バスが午前5時45分、長野県犀川に転落し25人の命が奪われました。運転者は2週間連続勤務し過労運転が原因とされました。大阪地連バス部会はこの事故を教訓とし、過労運転による大事故を二度と起こさない、起こさせないために公示運賃以下の運賃や、自動車運転者の労働時間「改善基準」告示違反などを告発し、改善を求めてきました。しかし不幸なことに犀川事故から約30年の間に、07年に吹田で「あずみの観光」、12年に関越道で「陸援隊」の重大事故が起こりました。いずれも違反まん延の職場の中で、当日は長時間・長距離運行、さらに深夜のワンマン運行という過酷な状況下で発生しました。

疲労蓄積する連続勤務

 一昨年7月にウィラーの夜行バスが東名阪道でダンプカーに追突、ガードレールを突き破り茶畑に転落した事故は、発生した状況から見て運転者の居眠りが原因と思われます。居眠りや急性疾患による事故の背景には、連続勤務の繰り返し、長時間・過重労働による疲労蓄積があると考えています。現状では実効性に欠ける「改善基準」告示の改正・法制化を急がなければなりません。
 急性疾患を予防するための健康管理に努めるとともに労働環境を改善し、居眠り運転に至る生理学的要因を排除する必要があります。特に夜行バスは昼行よりも事故要因が多く、運転者は心と身体をすり減らしています。夜行バスのワンマン禁止、保安要員添乗義務づけが必要です。
 貸切バスの運賃・料金制度が改定されてから4月で丸3年になります。運賃・料金に安全コストを適切に反映させるために制度改定が行われたことを利用者に理解してもらう必要があります。バス会社と旅行会社に公示運賃を守らせなければ安心・安全は担保できません。また、インバウンド(外国人観光バス)にも一般観光バスと同等に安全管理や公示運賃を守らせることが必要です。
 大阪地連バス部会は今年も全国バス部会とともに、バス労働者が人間らしい生活ができるよう国土交通省や厚生労働省に要請を行いたいと思います。そして組織拡大に向けた月1回の新大阪駅での宣伝行動も継続していきます。力を合わせてがんばりましょう。

 ※現在の運賃・料金制度=「キロ制運賃」(出庫から帰庫までの走行距離×キロ単価)と、「時間制運賃」(出庫から帰庫までの時間に点検・点呼等の2時間を加えた時間×時間単価)とを合計した額を運賃とする。深夜早朝運行・交替運転者を配置した時などにそれぞれ料金が発生。