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2015年10月の記事

本部第38回定期大会・大阪の発言
2015/10/26

後を絶たぬ重大事故
改善基準を改正せよ


大阪地連バス部会・山本雅弘事務局長
(大阪地連常任執行委員・大阪はとバス労組委員長)

北陸道事故を検証


 長距離バスについてまず指摘しなければならない問題は、運転者の居眠りや体調急変に起因する重大事故が後を絶たない点に尽きると思います。
 新たに始動した自交総連全国バス部会が3月17日に仙台で、学識者・行政・事業者・利用者などを招いて「安心安全なバス労働を考えるシンポジウム」を開催し、昨年3月に発生した北陸道・小矢部サービスエリアでの重大事故について検証しました。自交本部・菊池書記次長が「自交総連のバス政策」と題して基調報告を行い、東北運輸局・自動車交通部の菅原旅客第1課長 が国交省のバス事故対策について、北海学園大学の川村教授がバスの労働条件と安全について報告・問題提起を行い、これ受けてパネルディスカッションを行いました。
 労働条件の改善や、規制強化のあり方について意見交換を行う中で、北陸道事故を起こした宮城交通のOBから「有休を出してもなかなか認められない。在職中は言えなかったが退職したので今回シンポに参加した」との証言もあり、大手バス会社の労使一体となった労務管理、職場でモノが言えない体質が明らかにされました。

11日連続勤務の末

 報道によると同事故を起こした運転者の遺体損傷がひどく、事故原因は判明していません。しかしながら連続勤務の繰り返しによる疲労蓄積など、生理学的観点からの究明が十分には行われたとはいえません。同運転者は事故当日まで11日連続勤務でした。法律上は週1回休むのが原則ですが、宮城交通では労使協定で休みを2週間に1日としているため、最長13日連続勤務が可能となっています。
 またシンポでバスガイドクラブの代表は、「昔は運転者2人+ガイド1人という勤務体系があり、そのような体制がとられていれば今回の事故は防げたはず」として、保安要員としてのガイドや車掌乗務の必要性を訴えていました。
 事業者からは“運転席の隣で交替運転者が仮眠するようにしたら緊急時に対応できる”というような意見が出ましたが、そんな体制では居眠り運転がさらに増えるということがわかっていません。また、出庫時や出先での交替時に血圧測定を行うなどの対応が必要です。
 シンポの開催にあたっては宮城地連にご尽力いただきました。宮城交通からの圧力、また同社に気をつかい参加を取りやめたバス会社もあったと聞きました。事故でお亡くなりになった利用者の遺族に宮城交通の社長が土下座したという報道もありましたが、運転者の遺族にも謝罪すべきではないのかと思いました。
 7月10日に全国バス部会の代表9人で、国土交通省に対し、新公示運賃の収受やインバウンドの実態調査を求め、「違法行為を看過しているとまた重大事故が発生する」と懸念を伝えました。

教訓活かせず再発

 そのわずか4日後に三重県四日市市の東名阪道下り線で、夜行バスが大型ダンプに追突し、2台とも左側ガードレールを突き破り2メートル下の茶畑に転落、27人の負傷者を出す事故が起きました。国交省は2007年の「あずみ野観光」事故、2012年の関越道「陸援隊」事故を踏まえて安全対策が講じられているとしていますが、実態は改善につながっていません。
 厚生労働省は過労死認定基準を「1か月の時間外労働80時間以上」としながら、同省告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準)で月最大115時間の時間外労働を容認しています。改善基準を改正し、法制化して罰則を盛り込まなければ重大事故は防げません。
 最後にタクシー労働者のなかまの皆さん、バス事業を経営するタクシー会社がが多数あると思いますので、バス労働者の自交総連への結集を呼びかけていただきたいと思います。