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2018年02月の記事

自交総連本部・第40回中央委員会〈討論〉 大阪地連からの発言
2018/02/06

後を絶たぬバス事故
旅行業者が安値強要


大阪地連バス部会・山本雅広事務局長
(大阪地連常任執行委員・大阪はとバス労組委員長)


 国土交通省の資料によると、2016年1月15日の軽井沢事故の後、貸切バスが原因とみられる事故が昨年末までに88件(16年45件、17年43件)起きています。このうち、死者1人以上または負傷者が10人以上の「重大事故」は20件も起きていました。その中でも特に負傷者が10人を超えるなど軽井沢事故と同様の「特定重大事故」は20件中11件となっています。20件の重大事故での死者は計9人、重傷は19人、軽傷は266人です。事故が起きた状況をみてみると、「運転中意識を失い、対向車と衝突」「運転中に体調が悪くなり、赤信号交差点を直進」「居眠り運転」「漫然運転により路外に逸脱」など、運転手の過労や未熟な運転技術が疑われるものがありました。
 国交省は軽井沢事故を受けて「安心・安全な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」として85項目の対策を打ち出し、一昨年秋には道路運送法を改正し、バス事業の許可更新制、事業者による自主的な巡回指導を導入するなど対策に乗り出していますが、事故の背景にある「改善基準告示」の改正や法制化、規制緩和による過当競争の弊害、旅行会社の安値強要などにはメスが入っていません。

実効性欠く事故防止策

 総務省は昨年7月、「貸切バスの安全確保対策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告」を国交省に出しました。運賃下限割れ、長時間労働などに加えて、旅行会社による過大な手数料キックバック要求の問題を重点的に指摘しています。
 手数料問題の通報窓口として、日本バス協会、全国旅行業協会、日本旅行業協会の共同による第三者委員会が設けられていますが、総務省の調査に対してバス会社からは「旅行業協会が通報の窓口となっているため、通報自体がしづらくなっている」との意見が寄せられています。
 総務省の勧告は「優越的地位にある旅行業者が著しく高い手数料を要求することは、(独占禁止法が禁じる)優越的地位の濫用に当たる可能性がある」と指摘しています。このことを広く周知徹底し、特に大手旅行会社が安値強要しないように歯止めをかけなくてはなりません。
 私たちは全国バス部会のなかまとともに国交省に対して、総務省の勧告を真摯(しんし)に受け止め、改善するように求めていきます。